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江ノ島神社のむすびの樹 Ginkgo in Enoshima

縁むすび絵馬がかけられた  
男女和合の連理のイチョウ 

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DATA of TREE
▽樹種:イチョウ(イチョウ科・落葉高木)
▽学名:Tilia miqueliana 
▽樹齢:不明
▽樹高:不明/幹周り:不明
▽所在地:神奈川県藤沢市江の島2-3-8 辺津宮 
(2016年7月撮影) 


縁結びのご利益がある木の特徴は「連理(れんり)」の姿です。代表的なのは、出雲・八重垣神社の連理のツバキ。離れて立つ2本が途中でくっつき、1本になって伸びていくもの。もう1つの「連理」の特徴がよくわかるのがこのイチョウです。

【木の特徴】
根っこは1つ、途中から幹が2本に分かれ、仲良く伸びているイチョウの木です。根元を見るとよくわかりますよ。「むすびの樹」と呼ばれ、良縁、恋の成就のご利益があるご神木として信頼されています。木のまわりにはピンク色の縁むすび絵馬がずらりと並び、ご神木にしてはラブリーな雰囲気です。長い歳月を生きてきた木の生命の重みと、絵馬の人工的な軽さのギャップが楽しい♪ 木の下に立つと、ちょうど海が見渡せて、最高のロケーションです。デートで一歩前進したい人、片思いの人、婚活中の人、「イチョウの神さま、恋を叶えて!」とお願いしましょう。

★この木を見るポイント⇒ 根は1本、途中から幹が2本に分かれ、仲良く伸びている。

【歴史を伝える】
樹齢は不明ですが、太い枝からイチョウの古木ならではの乳柱(ちちゅう)が何本も出ているから、かなり年輪を重ねた老樹だと思います。乳柱を持つイチョウの伝説が日本各地にあります。昔、母乳の出ない母親の代わりにイチョウの精霊がお乳をあげたという言い伝え。やがては母になりたい女性の願いも叶えてくれそうです。

ご神木が立つのは朱の鳥居から石段を上り、5分ほど歩いたところにある辺津宮(へつみや)の境内。田寸津比賣命(たぎつひめのみこと)をお祀りしている神社です。鎌倉時代、土御門(つちみかど)天皇の御代、1206(建永元)年、将軍の源實朝(みなもとのさねとも)が創建したと伝えられます。本殿前にある茅の輪をくぐって厄除け祈願をしてから、「むすびの樹」にお参りに行きましょう。悪縁を除け、良いご縁を導いてくださるはずです。

※現在の様子:2020年に訪れたとき、幹の上部が伐られていました。やはり古木だったのかな。幹や枝は失われましたが、根元は大地にどっしりと根づき、「連理」の姿は健在です。恋の願いを叶えてくれるご神木であることに変わりはありません。安心して、お参りしてください。

【むすびの樹の教え】
あなた自身が「縁結び」の神になりなさい。縁遠い2人をつなげる女神になりなさい。この世には賢くて美しく、愛される人なのに、生涯の伴侶を見つけるのが苦手な人がいるものです。そんな人に手を差し伸べて、ご縁を結べば、あなたのもとにも幸せなご縁が訪れるでしょう。

【この木に会いに行こう!】
小田急電鉄「片瀬江ノ島」駅、江ノ島電鉄「江ノ島」駅下車、各駅から徒歩約20分。

むすびの樹、お参りのあとはいつも、江ノ島頂上にあるイタリアン「イルキャンティ・カフェ」へ。ココのしらずピザは絶品!サラダのドレッシングも隠れた名品ですね。江ノ島名物しらす丼もいいけど、大切な人と行くなら、シーサイドの席でワイン・・・。夕暮れには刻々と、海に沈んでいく夕日が見られて、本当に美しい。2人で過ごす1日の締めくくりにふさわしい場所だと思います。


建長寺のビャクシン Juniper in Kamakura 

威風堂々たるビャクシンの幹に
木の精霊たちの顔を探してください


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DATA of TREE
▽樹種:ビャクシン/別名イブキ(マツ科・常緑高木)
▽学名:Juniperus chinensis 
▽樹齢:約750年
▽樹高:約13m/幹周り:約6.5m
▽所在地:神奈川県鎌倉市山ノ内8 建長寺(けんちょうじ)


鎌倉の巨樹めぐりのメインはここ、日本で最初の禅寺として名高い建長寺。山門をくぐり本堂に向かうと、堂々たるビャクシンが7本、迎えてくれます。ビャクシンの木はそのダイナミックな姿にまず圧倒されますが、とくに心に響く3本をご紹介します。

【木の特徴】
1本目は、本堂近くの最も大きいビャクシンです。建長寺が創建されたとき、開山した大覚禅師が植えたと伝えられ、推定樹齢は約750年。大地にどっしりと根を張り、幹の中程から大きく枝を三方向に伸ばして立っています。樹皮は波打ち、幹から突き出た大枝が空に向かって広がる姿は神々しくさえあります。(写真上)
2本目は、本殿の前、左手にあるビャクシン。木の精霊?が見えるんです。幹の中程、2つの目がこちらを見据えるかのように、はっきりとした顔の形。フクロウに似ています。長い歳月を生きてきた古木には神が宿る、と日本人は考えてきました。このビャクシンはまさにその姿を私たちに見せてくれる木だと思います。(写真左下)
3本目は、山門から向かうと右手に立つビャクシンです。こちらも樹皮に精霊の顔がいくつも刻まれているように見え、頂上にはなんと龍の姿をした枝が突き出ています。この木に棲む神さまが龍となって、天を駆け昇ろうとしているのかな、、、想像がふくらみます。(写真右下)
ビャクシンの木の下に立つと、生命エネルギーが降り注ぐような激しい気を感じます。今の自分の実力より遥かに高い目標を掲げたとき、実現の決意をこめて、会いに行きたい巨樹たちです。

★この木を見るポイント⇒ 幹の中、枝の形に「顔」が見える。探してみてください。誰かときっと出会えます。

【歴史を伝える】
建長寺は鎌倉五山の1つであり、禅宗の臨済宗建長寺派の本山です。1253(建長5)年、北条時頼(1227-1263)が建立しました。鎌倉にはビャクシンが多く、円覚寺、法戒寺、鶴岡八幡宮などにもありますが、ここ建長寺のビャクシンの大きさは特別です。「鎌倉イブキ」とも呼ばれ、地元の人々に愛されています。建長寺は創建以来、幾度も火災に見舞われ、創建時の建物は焼失して、ほとんどが江戸時代に建て直されたものです。境内に立つビャクシンだけが奇跡的に生きのび、現在も勢いは衰えることはない。激動の歴史を知る、命ある存在なのです。

【ビャクシンの教え】
炎に包まれても生きのびたビャクシンのように、人もまた、何度でも再生することができます。もしも突然の試練に倒れたときは、しばらく休んでいればいい。無理して起き上がることはないんです。心の傷を癒しなさい、カラダの傷を治しなさい。それから、ゆっくりと立ち上がる。急がなくてもいいのですよ。あなたが歩ける速度で1歩1歩、進んでいけばいいのです。魂の支えがほしいときは、私―ビャクシンに会いに来てください。

【この木に会いに行こう!】
JR「北鎌倉駅」駅下車。徒歩約20分。

(2010年5月撮影)

鶴岡八幡宮の大イチョウ Gingko in Kamakura 

不死鳥のように蘇り
夢の成長をもたらす芽

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 ドンドンドーンッ。2010年3月10日。樹齢一千年の大イチョウのご神木が倒れました。地響きとともに雷が落ちたような大きな音がしたと地元の人が言っていました。かつて立っていた場所に大きな木がなくなることがこれほど喪失感を感じさせるとは......。
 当初、再生は難しいと心配されていましたが、1カ月後には新しい芽を出し始めました。その生命力の強さ! ちぎれたような幹の残骸からも、移植された幹からも葉が次々と出て、細い枝もぐんぐんと上に伸びています。芽吹きの姿に勇気づけられた人は多いでしょう。生長エネルギーが盛んな大樹の前に立つと、自分の夢にも成長の力を与えてくれるように感じてきます。
 そして今、現在の姿が右下の写真です。たった一本なのはなぜ? じつはこれこそ、このイチョウを蘇らせるヒミツ。鶴岡八幡宮の神主さんによると、この枝は将来、大木になる可能性のある一本だそうです。たくさんの芽が出ていた中から、専門家が調査し、選び出しました。木の栄養分をその一本だけに集中させるため、ほかの芽は全部取り除いたのだそうです。私が前に見た、木の根っこ全体をおおうように育っていたイチョウの葉はほとんど刈り取られ、この枝一本だけが残されたのです。現在も、新しい芽が出るとこまめに刈るようにしているのだそう。ほかの芽が出ていると、栄養が行き渡らなくて、結局どの芽も育たないことになってしまうからです。
 この小さな、細い枝がこれから太く、背も高くなっていくのを見つめていきたいですね。
 けれど......このイチョウが見上げるような大樹に戻る頃、今この世にいる人間は誰ひとり生きてはいません。
木の生命力の強さ、いのちの長さに圧倒されます。私たち人間は木に看取ってもらう存在なのだなあと思います。

◎樹種/イチョウ(イチョウ科)
◎樹齢/約1000年(爺杉)
◎樹高/約20m
◎幹周り/約6.7m
◎所在地/神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-31 鶴岡八幡宮内
(2012年6月現在)

城願寺のビャクシン  Juniper in Kanagawa

上昇気流に乗って上ってゆく
約800年前に武将が植えた「勝利の木」


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▽樹種:ビャクシン/別名イブキ(マツ科・常緑高木)
▽学名:Juniperus chinensis 
▽樹齢:800年以上
▽樹高:約20m/幹周り:約6m
▽所在地:神奈川県足柄下郡湯河原町城堀252 城願寺(じょうがんじ)
※国指定天然記念物

湯河原温泉に旅行に行ったら、会いに行ってほしい大樹です。 "木"なのに、動きまわるかのような姿。出会った瞬間に圧倒され、強い生命エネルギーを浴びることになるでしょう。

【木の特徴】
湯河原駅から徒歩10分。曹洞宗のお寺、城願寺へと向かう石段を上っている途中、木は見えない。鬱蒼とした鎮守の森が広がる中を歩く。「この石段の上に本当に巨樹が立っているのかな」と思っていると、突如姿を現した。大きなビャクシンが前のめりになりながら、勢いよく伸びていて、幹も枝もダイナミック! 幹はねじれ、らせん状に回転しながら上を目指しています。太い枝は真横に張り出し、右に向いたり、左に向いたり、素直にまっすぐ伸びる枝は見当たりません。しかも、私が鎮守の森と思っていたのはビャクシンの樹冠だったのです。枝葉がもくもくと空を覆って、自然が作り出した「大樹の門」といった姿でした。普段、大きな木の前に立つとホッとして、ゆったりとした安心感に包まれるものですが、この木の前では心が騒ぎます。胸の奥に隠していた何か、あきらめかけていた夢がむくむくと湧きあがり、もう一度挑戦したくなるようなエネルギーが込み上げてくるのです。勇気をくれる巨樹です。これから大きな一歩を踏み出そうとする人は会いに行ってみてください

★この木を見るポイント ⇒ らせん状に曲がりくねりながら昇っていく姿。

【歴史を伝える】
このビャクシンは、平安末期から鎌倉初期に活躍した武将、土肥実平(どひさねひら)が植えたと伝えられています。彼は城願寺の持仏堂(じぶつどう)をこの地に建てた人です。源頼朝に従った「頼朝七騎」の中心人物とされ、『源平盛衰記』や『吾妻鏡』にも登場します。平氏全盛の時代、石橋山の戦いにおいて、頼朝に従い、敗北に帰するが、臨機応変な作戦で主君を救ったと歴史にその名を残しています。城願寺は実平の菩提寺。境内には七騎(7人の武将)の木彫り像を祀る七騎堂があります。JR湯河原駅には実平夫妻の銅像があり、この地で愛され続けている武将です。実平が植えたビャクシンはすくすくと育ち、源氏と平氏の戦いを見つめ、室町、安土桃山へと続く戦乱の世を見つめ、江戸を見つめ、戦争を越え、ここに立っています。日本の歴史をつぶさに見つめながら、激しく、荒々しく、運命に抗い続けながらも、時を経て尚、天へと駆け昇るような勢いを感じます。

【ビャクシンの教え】
上昇気流に乗って、どこまでも昇れ!チャンスの風を逃がすなよ。

【この木に会いに行こう!】
JR「湯河原」駅下車。徒歩約10分。急な坂道、石段を上りきったところに立っています。

(2010年8月撮影)

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