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樹齢1200年 牛島の藤  Wisteria in Saitama 

紫の花の色香に酔ってしまう
昔、病気の娘を治癒した大樹

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花の色香に酔ってほしい藤の木です。樹齢は約千二百年。一本の藤の木から七百平方メートルという広大な藤棚に花が広がっています。訪れたらまずは房の中に立って、花と一緒にゆらゆらとゆれてみてください。紅紫、青紫、深紫......と紫色の美しさにうっとり、心がとろけそうです。ところがよく見ると、遠く、藤棚の中心に立つ幹は荒々しい姿をしています。枝は螺旋を描きながら伸び、根はのたうち、地面を這いずりまわるような激しさです。外見はしなやかな魅力を放ちながら、内には炎のような情念を秘めた花の精の存在を感じます。
不思議な伝説があります。長い間、病気で苦しむ娘がいました。家族が旅の僧に見てもらうと「この家の生き垣の中にある藤を寺に納めなさい。病気はすぐに治る」と言われ、そのとおりにすると娘は元気になりました。現在、藤のある場所がその寺、蓮華院の跡です。この藤を先祖代々、美しく咲かせ続ける人々の思いもこもっている奇跡の藤......。
藤は美しい日本女性の象徴として、様々な文学に登場します。その筆頭は『源氏物語』の藤壺でしょう。光源氏が愛した永遠の憧れの女性を"藤の花"で表現しています。日本舞踊の『藤娘』では松は男で、藤は女。松にからみつきながら男をなじり、藤の精が踊る色っぽい舞踊劇です。舞台上に藤の房が下がる華麗な舞いを見た人も多いはずです。吉祥文様として着物や浴衣にもよく描かれ、身にまとえば幸せになる象徴の花といえるでしょう。こうした藤の吉意は植物としての性質にあるといえます。藤は蔓性植物で、他の木に巻きつきながら成長し、時には寄生した木を殺してしまうほどです。藤が身にまとう着物によく描かれたのは、欲しいものは必ず手に入れる力強さを藤が与えてくれるように思えたからでしょうか。
この藤は、花の妖気を身にまとう神秘を味わえる、紫の大樹です。

◎樹種/フジ(フジ科)
◎樹齢/約1200年
◎樹高/約4m
◎幹周り/約9m
◎所在地/春日部市牛島786 藤花園(見頃は4月下旬から5月上旬)
(2010年5月現在)

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