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大久保の大ケヤキ Zelkova in Saitama

埼玉で最大のケヤキ、日枝神社のご神木 
八百比丘尼(やおびくに)が植えたという伝説が伝わる 

RIMG1733_R.JPGDATA of TREE
▽樹種:ケヤキ(ニレ科・常緑高木) 
※県指定天然記念物(平成6年) 
▽樹齢:不明
▽樹高:約20m
▽幹周り:約9.4m(地上1.3m)、根周り:約15.3m
▽所在地:埼玉県さいたま市桜区大久保領家433ー3 日枝神社
▽会いに行くには:JR東北本線「北浦和」駅下車。埼玉大学行きバスに乗り終点下車。埼玉大学から北へ歩いて約5分ほど。

RIMG1721_R.JPG 日枝神社の表参道脇、鳥居のそばに立つご神木。枝張りは約25メートルと大きく、幹の太さは現在、埼玉県内のケヤキの中で最大のものとされています。地上から約3.5メートルのところで6本に分かれ、枝を大きく広げています。落雷などの影響で、幹の内側は空洞となっていますが、その枝張りは堂々たる姿。空洞からは若木が伸びていく様子を見ることができます。(2009年5月撮影)RIMG1732_R.JPG

東根の大ケヤキ Zelkova in Yamagata

小学校の校庭で微笑んでいる、日本一の母欅 
根元で芽生えた小さな苗木を子供たちが育てています 

s1 IMG_0001.jpg DATA of TREE
▽樹齢:約1500年以上(国指定特別天然記念物)
▽樹高:28メートル
▽幹周り:15.77メートル
▽所在地:山形県東根市本丸南1-1-1 東根小学校校庭内
▽会いに行くには:JR山形新幹線「さくらんぼ東根」駅から、山交バスで「村 山駅前」行きで6分、「三日町」下車、徒歩約10分。

そのケヤキのことは人から聞いて知っていた。日本一の大きなケヤキ。知人が 訪ねたときは冬だった。小学校の校庭内に立つという大ケヤキまで行くのは結 構遠い。車から降り、東北の凍てつく寒さの中を少し歩いた先に、白い氷の巨 塔が立っていた。葉を落とした大樹に降り積もった雪は枝々を純白に染め、天 に聳えるように立つ姿は神々しく、生命の神秘を見たようだったとその人は言 った。だから、私の心の中にある「東根の大ケヤキ」は孤高の大樹だった。誰 も求めず求められず、ただ一樹、凛と立ち続ける。容易に人を寄せつけない老 樹の厳しさのようなものを抱くケヤキだと思い込んでいた。ところが、その話 を聞いてから約9年、やっと巡り合う機会を得て、大ケヤキの前に立ったとき、 その印象があまりにも違うことに驚いてしまった。

大ケヤキは孤独ではなかった。大勢の人の愛情をたっぷりと受けて微笑んでい た。訪れたのが6月、新緑の美しい初夏であったことも大ケヤキを明るい雰囲 気に見せてくれたのだろう。駐車場から歩いて向かうと、子供たちの楽しそう な声が聞こえ始め、その朗らかな響きの中、目の覚めるような緑色の樹冠が目 に飛び込んできた。大ケヤキは東根小学校の校舎の前に、どっしりと根を張り、 堂々たる姿で立っていた。圧巻はそばに飾られた注連縄で、長さ16メートル、 中心部の直径1メートルという巨大なものだ。ご神木として崇拝されている様 子がよくわかる。
ちょうど体育の時間だったのか、子供たちが元気に走り回るのを嬉しそうに見 守っていた。校舎の壁面には「夢きらり はじける笑顔 けやきっ子」と描か れている。大ケヤキは柵で囲まれていたが、太い根を守り、大地の水が幹から 枝々まで行き渡るように工夫されていた。根元にある大きな洞の内側が水の供 給のために整えられているのだ。柵で囲まれた多くの巨樹は「入るなよ」と、 柵を作った人間たちの横柄な拒絶感を表すようで好きではないのだが、大ケヤ キを囲む柵は「みんなでケヤキを守って長生きさせよう。見に来る人たちも協 力してくださいね」というあたたかな感情が伝わってくるようだった。この素 晴らしい大ケヤキを誇りに思い、大勢の人に末長く訪れてもらえる存在にした いという熱い思いも伝わってきた。
大ケヤキを眺めていると、近所の女性が出てきて、大ケヤキはまだ生長を続け ていると教えてくださった。少し前に私有地まで根が張ってきたとき、みんな で土地を差し出して、大ケヤキがもっと自由に根を伸ばせるように協力なさっ たそうだ。「うちの土地が小さくなったけど、まあいいよ」とその女性は豪快 に笑った。大ケヤキはこの地で暮らす人たちの愛情に包まれて生きていた。ほ んの一瞬立ち寄るだけの私でも、大ケヤキの幸福感がしっかりと伝わってくる。 巨樹は春夏秋冬、会いに来なければ本当の姿はわからないのだと思う。
かつてはもう一本、ケヤキが立っていたそうだ。父欅(ちちけやき/雄槻=お つき)と母欅(ははけやき/雌槻=めつき)が二本、仲良く並んで立っていた が、明治18年(1885)父欅のほうが枯れてしまったという。母欅は愛する夫の 分まで長生きしようとしているのかもしれない。それにしても樹齢1500年以上 といわれるほどの老木には見えない。勢いよく緑を繁らせ、大きく手を広げる ように枝を伸ばして、子供たちを見守り、穏やかに、どっしりと立つ大ケヤキ。 この土地の守り神であり、まさに母なるケヤキである。

根元には小さなケヤキの赤ちゃんが芽生えていた。ケヤキの芽は子供たちがプ ランターで育て、ある程度大きくなったら、ひとりひとりが家に持ち帰って大 きく育てていくという。こうして、大ケヤキは子孫を残し、命は永遠に紡がれ ていく。育てる子供たちもまた、木の命は後世に伝えられ、自分たちの命もま た巡っていくことを実感していくのだろう。(2014年6月4日撮影) 

s2 IMG_0070 (3).jpg更新日:2017年3月16日
初出:nifty有料メルマガ「おとなの学び場」第9回 2014年10月21日号


下妻神社の大ケヤキ Zelkova in Ibaraki

おへそのある木
太い幹が同じ太さで昇りゆく

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DATA of TREE
▽樹種:ケヤキ(ヒノキ科・常緑高木)
▽学名:Zelkova serrata 
▽樹齢:約500年
▽樹高:約26.5m/幹周り:約8.65m
▽所在地:茨城県下妻市下妻乙80 下妻神社
  ※市指定天然記念物(1977年指定)


下妻の市街地の北西に位置する下妻神社。小さな神社の赤い鳥居をくぐるとドーン。大きなケヤキが2本そびえています。とくに注目したいのが、拝殿に向かって右側のおへそがあるケヤキです。

【木の特徴】
どっしりと根を張って立つ大きなケヤキ。根元から幹の上、枝分かれする部分まで、同じ太さで上っていく、堂々たる姿です。その太い幹から、ぼこっと出ているのはおへそ!? 丸いコブが"おへそ"のような、"目"のような。このケヤキが意志をもって生きているような感覚にとらわれます。絵本の中で大きな木が話すシーン。この木ならあり得るかも、、、。推定樹齢は約500年。樹冠には少し枯れ枝があったり、幹にはウロができていたり、長い歳月を経てきたことがわかります。それでも、空へと伸びる枝張りはかなりのもので、市街地に立つケヤキとは思えないほど勢いのある木です。

★この木を見るポイント⇒ 地上2メートルほどのところにおへそがある。木の根元には大黒さまがいらっしゃいます。

【歴史を伝える】
説明版によると、下妻神社は素戔嗚命(スサノオノミコト)ほか八柱の命を祭る神社で、創立年代は不詳です。一説には、下妻城主、多賀谷重経(たがや・しげつね1558-1618)が牛頭天王を勧請して建立したと伝えられ、地元では「天王様」と呼ばれ信仰された神社。正徳年間(1711年~1715年)下妻藩主の井上正長が城廻村(現在の下妻市下妻乙)の守護神とし、社殿を再建したと伝わります。明治時代になると近隣の複数の神社が合祀されて、下妻神社となりました。

小さな境内に大きなケヤキが2本。「神社が先か、木が先か?」という課題を思い出す場所です。もしかすると、昔は祠もなかったかもしれない。最初、大きな木だけが立っていて、その木に手を合わせた人々の願いが叶うことが時々あった。例えば、病気が治った、良いご縁があった、出世したetc.そのために信頼され、愛され、ご神木として崇拝されるようになったのではないか。木にお供えをする人が現れ、小さな祠ができ、鳥居ができ、社殿ができていった・・・。あくまで私の想像ですが、ここはご神木が最初の神社、ではなかったでしょうか。

【この木に会いに行こう!】
関東鉄道常総線「下妻」駅から1.1キロ。近辺には関東最古の八幡宮・大宝八幡宮、宗任(むねとう)神社などもありますので、車で神社めぐりをするのがおすすめです。また、2004年公開の映画『下妻物語』(主演:深田恭子、土屋アンナ)のロケ地めぐりもいいね。

(2015年9月3日撮影)


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十日市場の大ケヤキ Zelkova in Yamanashi

子宮の入口のごとく洞の中に根が何本も伸びている。
堂々たる根張りの大ケヤキ、今日も道祖神さまが見守っている。

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シンボル:子孫繁栄
樹種:ケヤキ(ニレ科)落葉高木
学名:Zelkova serrata
◎樹齢/500年
◎樹高/24メートル
◎幹周り/9.8メートル
◎所在地/山梨県南アルプス市十日市場 神明社・石動社 
(2015年3月5日撮影)

◎ご神木の立つ場所
神明石動社(しんめい・いするぎ・しゃ)
ご祭神:天照大神、可美眞手命(うましでのみこと。物部氏の祖)

こじんまりとした境内に大ケヤキがそびえている。生々しい、あまりに生々しいお姿である。幹の中心を割るように大きな洞があり、それは子宮の入り口のような形状をしているではないか。人間の肉体に似た、こうした姿の木と会うとき、私は木もまた"生き物"なのだと妙に感動する。小さな私の体と大きな木の体に共通する部分があるということに自然の神秘を感じてしまうのだ。洞の中を覗くと、上から下へと白く細長い枝が何本も生えているのが見えた。古木になると洞の内側に根が伸びてくることがあるという。大地に伸びる力を失ったのかどうかはわからないが、洞の中の根がこの古木が生きながらえる力となっているそうだ。「まだまだ生きるぞ!」と内から叫んでいるようだ。上部で2本に分かれた枝は若々しい。洞から切り裂くように幹が割れ、二又に分かれて空へと伸びているのだ。これも連理の木といえようか。1つの根が途中で2本になって成長する木は縁結びのご利益があるという「連理」の姿をとっている。2本の枝のダイナミックな上昇感もさることながら、根張りもまたすばらしい。板根状(板のようにやや平らな形)になって広がり、大地をどっかりとつかんでいる。堂々と立っているのに少し優しげに見えるのは、ケヤキがその形をさらして女性性を放っているからだろうか。身をよじるような姿で立ち、民家のすぐそばまで枝が伸びているが近所からは苦情もないという。地元では「しょういちさん」と呼び親しまれているこの神社。ケヤキもまた大らかな気持ちで見守られているのだろう。ケヤキの正面には赤い鳥居があり、道祖神が祀られている。家内安全、子孫繁栄の守り神さんとご神木。境内はすがすがしい気が流れる、なんとも心地いい神社だった。



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三恵の大ケヤキ Zelkova in Yamanashi

雷に打たれて、主幹を失った。
それでも尚、生命力に溢れて、勢いよく伸びゆく

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シンボル:不屈の精神
樹種:ケヤキ(ニレ科)落葉高木
学名:Zelkova serrata

◎樹齢/1000年
◎樹高/20メートル
◎幹周り/14.95メートル
◎所在地/山梨県南アルプス市若草町寺部今井前
(2015年3月5日撮影)

この大ケヤキ、かつては「日本三大ケヤキ」の一つだったという。他の二樹は「東根の大ケヤキ(山形県)」と「原町の大ケヤキ(群馬県)」。雷や台風などで主幹が折れて、大きな空洞(裏側にある)ができ、二本の幹がかろうじてつながっているという状態だ。しかし、落雷などで主幹が倒れ朽ちてしまったにも関わらず、このエネルギッシュな姿を見よ! 支柱に支えられてはいるが十分見応えあり、圧倒的されるような壮麗な巨樹である。

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