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小黒川のミズナラ  Oak in Nagano

水の気を放ちながら
成長する木のメリーゴーランド

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s-20130124 mizunara mizuDH000013.jpg  寄りかかると樹皮はふかふかしています。そばを流れる川の音色が清らかで、水の気を強く感じる大樹です。見上げると、幹が螺旋状にねじれ、枝はその螺旋からつながって広がりながら伸び、"木のメリーゴーランド"といった姿をしています。ミズナラは全く動いていないように見えますが、少しずつ回転しながら成長しているのです。別名を「おおまき」と呼ぶとおり、木の生命力を巻き上げ、四方八方へと放っているのを感じます。近くには「大まきの岩清水」と書かれた水飲み場があり、その清らかな水も風に乗って円を描きながら、空へ広がっているようでした。
 螺旋を辿って見上げると、枝の上のほうにヤドリギが緑色の丸い玉をつけていました。一つ、二つ、三つ......。ヤドリギはヨーロッパでは幸福の木。冬至の頃、刈り取って家の中央に吊るすと、家族に幸運がもたらされると言い伝えられ、今でもその風習は各地に残っています。とくに森の王様「オーク」に寄生するヤドリギは魔力が強いとされ、崇拝されていました。古代ケルトの聖職者ドルイドはオークの木に登り、天啓を受けて人々を導いたり、ヤドリギを刈り取って願いを叶える万能薬にしたといわれています。オークはブナ科の落葉樹。日本の木に当てはめれば、目の前にそびえるミズナラこそ、その神秘の木オークでした。
 ミズナラの根元には小さな祠があり、お菓子が供えられていました。地元の人々に大切にされている大樹なのでしょう。緑の美しい季節にまた来てみたいと思いました。優しい気持ちになれる場所です。

◎樹種/ミズナラ(ブナ科)
◎樹齢/約300年
◎樹高/18.2m
◎幹周り/7.25m
◎所在地/長野県下伊奈郡阿智村清内路・山の神
(2006年4月)

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