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2017.9.2講演会の報告「トークセッション・ヒロシマ連続講座第32回 原爆から蘇ったヒロシマの木」in 駒込

東京で原爆について勉強する会で講演をさせていただきました。たっぷり3時間。広島市内の被爆樹(原爆から蘇った木)について、現在、私が知り得る限りの情報をお伝えするとともに、<「被爆樹を通して原爆を伝える」ことのこれから―課題>についても提案しました。

▼タイトル:トークセッション《ヒロシマ・連続講座》第32回「原爆から蘇ったヒロシマの木―被爆樹の向こうに見えるヒロシマ」
▼日時:2017年9月2日(土)13時~16時
▼参加人数:約20名
▼主催:竹内良男氏《ヒロシマ・連続講座》

<講演の流れ>
前半(13:00~15:30)
DVD「ヒロシマの記憶―幻の原爆フィルムで歩く広島 6植物の被爆」(日映映像)
(1)被爆樹「無言の証言」-新しい伝承の形として
◎人々の生きる力、勇気や希望となった木々―「あ、芽が出とる!」
・芽吹きの喜びは、世界共通、老若男女、思想を問わない
・「怖い」「暗い」と原爆を避けてきた人々や子供たちへのアプローチ
・被爆後に芽生えた事実は、原爆・戦争に「無関心」な人々が心をとめる存在
◎ヤケド、ウロなど傷痕を残す木の姿から、被爆の状況が見えてくる
◎1945(昭和20)年の新聞記事から。「爆心に芽吹く」他。

(2)被爆樹とは何か?
・広島市登録「被爆樹木」の定義
・広島の被爆樹木リスト&長崎の被爆樹木リスト
・傷あとを残す木々の特徴

(3)木のそばで何が起こったか?
・ヒバクシャが語る木
安楽寺のイチョウ、三篠神社のクスノキ、千田公園のクスノキ並木etc,
DVD「愛・地球博 日本は森の国」三篠神社・焼け野原から鎮守の森を取り戻す)
・原爆の絵が語る木
・伝承者(原爆を知らない世代)が語る木
・枯死してなお、後世へつなぐ木(楽器などに形を変え、伝え続けていく)etc.

(4)いつ、芽は出たか? 花は咲いたか?
「原子爆弾災害調査報告書 植物への影響」より
・1945年9~10月 爆心地から500m圏内で見つかった植物
・1945年10月、風にゆれるアサガオの花(原爆映像)
・被爆後の植物(葉・花・枝)の状態:奇形の葉、斑入り、生育不良、不完全な花etc
・論文「放射線の主として植物への影響」(調査期間:広島1945年9月21日~30日、長崎10月3日~22日)からの考察
・チェルノブイリ、フクシマの植物との共通点

(5)1本の被爆樹(本川小学校のシンボル・ニワウルシ)にみる伝承の形
戦前の木 → 原爆投下 → 元所有者の被爆証言 → 本川小の教師・ある被爆2世の死 → 彼が残したニワウルシの歌 → ニワウルシ2世が校内の「平和の森」で育つ → ニワウルシが登場する原爆絵本「いわたくんちのおばあちゃん」を通して伝承を続ける女性の姿。

(6)皆様と一緒に考えたい「被爆樹を通して原爆を伝える」ことのこれから
・被爆樹を伝えるための行動(公立図書館での展示、講演など)から見えてくること
・「軽い、明るすぎる、木では被爆の実相が伝わらない」という意見への提言
・知る人×知らない人のギャップをどう埋めるか?
・被爆アオギリ2世のゆくえ―見捨てられたアオギリ2世たち
・原爆の木々への影響をどう知り、どう伝えるか?
以上、様々な課題があることを話した上で、

(7)勇気をくれたある若い女性の言葉―被爆樹は次世代へつなぐ存在
・子供の頃、原爆・戦争の授業が怖くてしかたなかった1人の女性がくれた、勇気の言葉が私の背中を押し続ける。

これからも被爆樹の取材を続けます。新たな木々の姿、被爆者の方々との出会いを通して、原爆の伝承を続けていきたいと思います。ご清聴、ありがとうございました。