五島・樫の浦のアコウ Ficus in 長崎
長崎一の大きさを誇る奇樹アコウ
木の中にとりこまれていきそうな異空間へ・・・
"AKOU" Banyan Tree of Kashinoura in Nagasaki
DATA of TREE
▽樹種:アコウ(クワ科・常緑高木)
▽学名:Ficus superba
▽樹齢:不明
▽樹高:約10m/根周り:約15m
▽所在地:長崎県五島市平蔵町1570
※県指定天然記念物(昭和27年2月13日指定)
【木の特徴】
小さな港のすぐそばを山のほうへと進むと、まさに"神宿る"存在として立っています。海と、海を生きる人々を見守るかのような威風堂々たる姿。木の横にある小道を通って、木の裏手にまわると、そこは人間が入り込んではいけないような異空間が広がっていました。クワ科の大樹ならではの気根が無数に垂れ下がり、1本1本が生き物のように蠢いている・・・と目を疑ってしまう。いつものように気持ちよさそうな空間を見つけ、寄りかかると、あ、アコウの木霊(こだま)が私を・・・。
ああ、木の中にとりこまれてしまう・・・。もしも、1人でここに来ていたら、私はこの木の一部となっていたでしょう。木に寄りかかったまま、一歩も動けないで、ずずーっと気根に巻かれて、垂れ下がる気根と気根の間、その内側へ、奥深くへ、ぐいぐいと体が吸い込まれていくような・・・。
神さまの木、アコウ。この木と出会うために、ご神木や巨樹を巡ってきたような・・・気がしています。(2017年11月27日撮影)
【アコウ】中国南部から台湾・南西諸島を歴て、九州・四国・本州の暖地に分布する、クワ科の常緑高木。長崎県内では島原半島・長崎半島・西彼杵半島の沿海暖地、五島各地、平戸島から北松浦郡の鷹島、壱岐に、アコウの大樹を見ることができます。その中でも、この「樫の浦のアコウ」は長崎一といわれるほどの大きさを誇っています。根周りは15メートルを越え、樹高は10メートル以上、東西南北へ30メートル以上も枝を張っています。枝はさらに分岐して、枝々からは大小の気根が垂れ下がり、異形の姿をしています。大きい気根だけでも約100本。そのうち、長い気根は地面に達して根づき、支柱根となって、四方八方へと広がる枝を支えています。根元に祀られているのはご水神さま。
【歴史を伝える】
五島・教会めぐりをする途中で寄るといいでしょう。「樫の浦のアコウ」から最も近いのは堂崎教会(写真)。赤レンガ造りのゴシック様式の建築が特徴です。教会内部では布教時代から迫害を経て、現在に至る信仰の歴史が展示されています。絵画は必見。キリスト教によって救われる絵のそばに、信仰を捨てれば地獄に連れて行かれる絵では閻魔大王らしき人物が描かれるなど、日本古来の思想がキリスト教の絵画に取り入れられ、日本での布教の難しさを垣間見ることができます。私は宮原教会、半泊教会(私のベスト1)を経て、三井楽教会~玉之浦教会へ主要な教会を巡りました。
【この木に会いに行こう!】
長崎港からフェリーで福江港へ。下船後、車で約20分。
新上五島・奈良尾神社のあこう樹 Ficus in 長崎
長崎・五島のご神木「あこう樹」
根と根との間をくぐると、長生き、元気!
"AKOU" Banyan Tree of Shinkamigotou in Nagasaki
DATA of TREE
▽樹種:アコウ(クワ科・常緑高木)
▽学名:Ficus superba
▽樹齢:約650年
▽樹高:約25m/幹周り:約12m
▽所在地:長崎県・新上五島町奈良尾郷333(五島の1つ)
※国指定天然記念物(昭和36年4月27日指定)
【木の特徴】
このあこうの下、くぐりたかった! 長崎港からフェリーで五島の1つ、新上五島(しんかみごとう)へ。奈良尾港から徒歩15分ほど歩いて、「奈良尾神社」到着。石造りの鳥居をくぐると、また鳥居!? あこうの根が二股に分かれ、その根と根との間を通って境内に入るようになっています。樹齢650年以上の大樹、おそらく鳥居が立つ前からこの木は立っていたでしょう。この木の下をくぐった人は"長生きできる"と言われています。両手をぐーっと上に伸ばすと、確かに、あこうのエネルギーをカラダいっぱいに受けて、確かに長生きの力をいただいたみたいです。。(2017年11月26日撮影)
【歴史を伝える】
新上五島町は五島列島の中程に位置しています。あこう樹の周囲には、中ノ浦教会、若松・大浦教会、福見教会、高井旅教会などの教会があり、タクシーで2時間くらいでまわれます。これらの教会は頭ヶ島天主堂とともに、「五島を世界文化遺産の島に」という呼びかけの"潜伏キリシタン関連遺産"のひとつです。
【この木に会いに行こう!】
長崎港からフェリーで奈良尾港で下船。徒歩約15分。
この木のそばに2時間くらいいたでしょうか。途中、宮司さんがお茶を出してくださって、嬉しくて♪ 境内に立つイチョウのご神木も今がいちばん美しい時期。「ぜひ、イチョウも見て行ってください!」と言われて、境内にあるベンチに座っておしゃべり。金色の葉がはらはらと舞う中、いただいたお茶は、宮司さんの気持ちも嬉しく、心も体もほっとあたたまる時間でした。
境内には小さな丸テーブルとベンチがあります。「どうぞ、ゆっくりしていってください」と宮司さん。
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