クレメンティヌムの図書館(プラハ)
Klementinum in Praha
クレメンティヌムはカレル橋のたもとにある、プラハ城に次ぐ規模といわれる複合建築群。イエスズ会の拠点として17世紀に建てられました。この中に、美しい図書館がありました。
どこが入口かわからなくて、周囲を巡るように歩いていると、小さな机に金髪のおばあさんが一人。うつむいて、笑顔ひとつありません。扉はしっかりと閉まっています。「図書室館はどこにあるの?」と聞くと、そばにいた少女に指さして何か告げました。少女はどこかからか、大きな鍵束を持ってきました。くすんだ金色をした鍵です。扉の前に立つと、ガチャンガチャン。埃をかぶったような鈍い音がして、扉は開きました。石段を上って行くと再び閉まったままの扉。少女は再び大きな鍵でガチャガチャン。
扉が開くと、そこは古い時代がそのまま残ったような図書館宇宙。
地球儀、金の装飾で飾られた椅子、豪華な天井絵。
約500万冊あるといわれる蔵書、今は誰か開くことはあるのでしょうか。本をとるための梯子に誰か登る人は? 私はたった一人、ただただ眺めていました。
宇宙樹の図版が描かれた書物。挿絵が美しい書物。
図書館を見学した後は屋上に案内され、プラハの街を上空から眺めることができました。その日は曇りだったのですが、灰色の空がかえって神秘さを増し、レンガ色の屋根が連なる街並みを美しく魅せていました。
外に出ると、あまりに明るくてまぶしくて、どこか遠い時代を彷徨って、現世に戻って来たような気がしました。
礼拝堂では夜のコンサートの案内が出ていました。黄金に輝くこの空間にパイプオルガンの音が鳴り響くのは神秘的でしょうね。残念ながら、夜は予定が入っていたので聞けませんでした。
ふと見ると、すぐそばの小さな部屋ではさっき受付にいたはずのおばあさんがモダンな服装でおしゃべりしていました。私が最初に会った時とあまりにも様子が違って現代風なので、一体私はどこに行ってきたのだろうかと、キツネにつままれたような気になったのでした。あ、プラハだからキツネじゃないかしら。
そうそう、私の友人もこの日クレメンティヌムを訪れたそうですが、探しても探しても、図書館の入口が見つからなくて、入れなかったそうです。私は本当にどこかへ...?
【クレメンティヌムの図書館】に行くには
カレル橋から徒歩1分。図書館への入口が分かりづらく、表通りとは反対の裏手のほうに受付の机が出ている。
写真撮影は可。ホームページあり(英語)。2012年6月現在。
http://www.klementinum.com/index.php?linkID=lnk6&lang=2
ストラホフ修道院 中世の図書室(プラハ)
Strahovský klášter in Praha
海外を旅すると、決まって図書館に立ち寄ります。書物の並んだ異空間に入ると、かつて本を書き、編んだ人達の知的な欲望、この世に残ったすばらしい本の息づかいが聴こえてくるようで、いつまでもいつまでも立ち去ることができません。
チェコ、プラハ城近くにあるこの図書室もずっと憧れていました。1140年、ボヘミア王ブラディスラフ一世が建築した男性のための修道院の中に、彼らが勉強した中世の図書室がそのまま残っています。「神学の間」と「哲学の間」、二つの部屋はうっとりするほど美しい図書館宇宙が広がっています。残念なことに、図書室の中には立ち入ることができないのです。ただ、眺めるだけです。
「神学の間」。白く輝く天井絵、古い地球儀、そして、5万冊の書物。右手には眉をひそめ、悩める男の像。何を苦悩しているんでしょうか。
天井から壁面へと広がる美しいフレスコ画。ヨーロッパの建物が好きなのはなんといってもこの天井を見事に飾る美意識。圧倒されていつまでも眺めてしまいます。
赤い表紙に、宝石がちりばめられた豪華な写本、鮮やかな挿絵の書物もありました。
「哲学の間」。13万冊の書物がおさめられ、その中には3千冊の手書き写本と2千冊の木版活字本もあるそうです。手にとって見られないのが残念でなりません。
【ストラホフ修道院の図書室】に行くには
プラハ城から徒歩約10分。開館時間:9時~12時、12:30分~17時 休館日:なし 料金:80Kc(写真撮影は有料)2012年6月現在。
ホームページ(英語あり)http://www.strahovskyklaster.cz/index.asp