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屋久島の夫婦杉 Cedar in Kagoshima

屋久島の原生林にひっそりと立っている 
仲良く手をつないいる連理のご神木 

s2 DH000045 屋.jpgDATA of TREE
▽樹齢:左(妻)約1500年・右(夫)約2000年(国指定特別天然記念物 ※屋久島スギ原生林として)
▽樹高:左(妻)25.5メートル・右(夫)22.9メートル
▽幹周り:左(妻)5.8メートル・右(夫)10.9メートル
▽所在地:鹿児島県熊毛群毛郡屋久町
▽会いに行くには:縄文杉登山ルート大株歩道沿い

縄文杉を訪ねる登山歩道では多くの神秘的なスギと出会える。この「夫婦杉( めおとすぎ)」も忘れがたい。3メートル離れて立つ、2本のスギがまるで手を つなぐように、枝がつながっているのだ。どうしてこんな状態になったのか?  スギは癒着しやすい性質があり、かつてはそれぞれに伸びていた枝が触れ合 って徐々にくっついたとされている。今では完全に一本の太い枝となり、別々 に生きてきた男女が一体となって生きていく"夫婦和合"の象徴のようだ。左が 妻で、右が夫だという。残念ながらすぐそばまでは行けないが、遠くから眺め るほうが、その仲睦まじい様子をよく見ることができる。
屋久島の原生林を歩いていると自分がいかに小さな存在かを感じずにはいられ なかった。木々はあまりにも背が高く、まるで根の間をぬって歩くコロボック ルか何かのように思えてきた。原始の生命エネルギーを放つ屋久島そのものが、 本来は人間が足を踏み入れてはいけない神域ではないか、とも思う。古来、神 域に間違って人間が入り込むと森の神の祟りがあるといわれる。そのとおり、 屋久島から戻った後、私の顔はしっしんとかぶれで膨れ上がり、原因のわから ない不調が続いた。おそろしや、おそろしや。私はうっかり神の住処を穢して しまったのかもしれない......。後でいくつかの本で調べると、下鴨神社の神 域とされる森に調査に入った学者が同様の症状になったと書かれてあった。私 の考えもそう間違ってはいないと思う。

屋久島の縄文杉・ウィルソン株  Cedar in Yakushima

原始の森の
母なる木と父なる株

s-20130123 yakusugi DH000037.jpgs-20130123 wilson DH000052.jpg

s-wilsonDH000054.jpg  森の中には、木が守る「場」がそれぞれにあると知ったのは屋久島でした。原生林の森を行く道は険しく、何度も挫けそうになりながら縄文杉のところまで辿り着くと、どこからか「よくいらっしゃいました」という女性の声が聞こえてきました。深く、あたたかな声の響きは今でも忘れることができません。その幹には優しい目と口とが浮かんでいました。右側は横顔に見え、人間の行けない森に棲む者たちを見守っているようです。森の母なるエネルギーで私は深い安堵感に包まれていきました。
 ところが、ウィルソン株に向かって歩き始めると男性的なエネルギーが漂ってきます。森を流れる「気」の質が確実に変わったのを感じました。幹が伐られた切り株なのに痛いほどの激しい気が満ちているのはなぜ? そう思いながら株の中に入ると祠があり、ご神水が湧き、荘厳な時空が広がっていました。上を見上げると空が見え、小さな杉が次々と伸びています。次世代へと命をつなぎたい親株の願いと、新たな命の息吹きとが交流し合い、力強い気を放っていたのかもしれません。

◎樹種/スギ(スギ科)
◎樹齢/推定約7200年
◎樹高/30m
◎幹周り/16・4m
◎所在地/鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦
(2002年10月現在)

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