木のゆりかご
大きな木と出会ったとき、「この木とは心が通じ合うな」と感じることがあります。
そんなとき、私は両手を広げて、木を抱きしめます。
幹に背骨をぎゅうっとくっつけて、寄りかかったりもします。
すると、まるで木の上で寝ているみたいな、木のゆりかごに乗っているような気持ち......。
写真はそうやって下から見上げたところ。
フィンランドの森で出会ったモミの木です。
幹から枝がぐぐーーんといくつも出ていて、
葉っぱは日本のモミよりずうっと長く垂れ下がっていて、
緑色のレースのカーテンみたい。
木洩れ日がキラキラ透けて、とてもきれいでした。
出会った瞬間、胸が熱くなりました。
幹に寄りかかると涙がぽろぽろ。
心にたまっていたいろいろが全部流れていくみたい。
何故かしら......?
連れて行ってくれた人にあとで聞くと、このモミの木は何百年も昔むかし、この森で生まれ、
人々が天啓(てんけい)を得るために訪れた神聖な木でした。やっぱり・・・。
モミの木は、両手をいっぱいに広げて、私を抱きしめてくれました。
迷いも不安も、その広ーい胸で、まるごと受けとめてくれるみたいに。
あなたも、心惹かれる木と出会ったら、木の幹に体をあずけてみるといいですよ。
寄りかかったり、ハグしたり、根元に寝ころんだり。
誰にも打ち明けたことのない、あなたの心のことばにじっと、耳を傾けてくれると思います。
★フィンランドの森で育つ天啓の木。昔も今も、人々はこの木の下で瞑想をするそうです。
書いた日:2008年11月11日
撮影した日:2005年5月
2015年、北欧の素敵な本をいただきました。
『フィンランド 森の精霊と旅する』リトヴァ・コヴァライネン著