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古長禅寺のビャクシン Junipers in Yamanashi

四天王をかたどり、夢窓国師が植えた四つのビャクシン。
等間隔に四方に並び、勢いよく伸びてゆく
These four Trees are standing in the temple.

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シンボル:結界
樹種:ビャクシン(ヒノキ科)落葉高木
学名:Zelkova serrata
◎樹齢age/700年years old
◎height&surroundings
・北東隅:樹高/10.9m 幹周り/4.4 m ※地上部で東西に割れている
・北西隅:樹高/16 m 幹周り/6.3 m ※地上約1mで4つの幹に分かれている
・南東隅:樹高/10.9 m 幹周り/4.05 m
・南西隅:樹高/ 14m 幹周り/5.15 m ※地上に近い所から東西に二股に分かれている
◎指定/国指定特別天然記念物
◎所在地/山梨県南アルプス市鮎沢1509 古長禅寺
(2015年3月5日撮影)

◎ご神木の立つ場所
「古長禅寺(こちょうぜんじ)」
臨済宗妙心寺派の寺院
開山:夢窓疎石(むそう・そせき 1275-1351)本尊:釈迦如来
☆境内にはダイナミックな姿をした藤の古木があり、池の中をまるで龍が渡るように仕立てられている。

龍が天を駈け昇るかのような立ち姿をしたビャクシン。このお寺には勇壮な四樹が立っているというので期待して行った。本殿のある境内を突っ切り、旧客殿前庭に4本のビャクシンがちょうど正確に四方に立っていた。境内の四隅を守るようにご神木が立つ様子は諏訪大社の御柱に共通しているので、何か意味があるのだろう。結界を張る目的だろうか。四樹それぞれに姿が違うので、どの木が自分の心に合うか、そばに寄り添い見つけたい。
言い伝えによると、
南北朝時代、1316年、寺を開山した臨済宗の禅僧、夢窓疎石が四天王(持国天、増長天、広目天、多聞天)をかたどり、植えたビャクシン。旧客殿前庭の四隅に約10メートル間隔に四本が植えられ、今に至る。通称「夢窓国師、手植えの四つのビャクシン」。高僧が自らの手で植えたという"手植え"伝説を踏襲しているが、四本とも今も勢いよく健在というのがすばらしい。ビャクシンのご神木は鎌倉の建長寺や湯河原の城願寺など禅寺に多いが、ここも禅僧が開山したお寺である。
 
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建長寺のビャクシン Juniper in Kamakura 

威風堂々たるビャクシンの幹に
木の精霊たちの顔を探してください


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DATA of TREE
▽樹種:ビャクシン/別名イブキ(マツ科・常緑高木)
▽学名:Juniperus chinensis 
▽樹齢:約750年
▽樹高:約13m/幹周り:約6.5m
▽所在地:神奈川県鎌倉市山ノ内8 建長寺(けんちょうじ)


鎌倉の巨樹めぐりのメインはここ、日本で最初の禅寺として名高い建長寺。山門をくぐり本堂に向かうと、堂々たるビャクシンが7本、迎えてくれます。ビャクシンの木はそのダイナミックな姿にまず圧倒されますが、とくに心に響く3本をご紹介します。

【木の特徴】
1本目は、本堂近くの最も大きいビャクシンです。建長寺が創建されたとき、開山した大覚禅師が植えたと伝えられ、推定樹齢は約750年。大地にどっしりと根を張り、幹の中程から大きく枝を三方向に伸ばして立っています。樹皮は波打ち、幹から突き出た大枝が空に向かって広がる姿は神々しくさえあります。(写真上)
2本目は、本殿の前、左手にあるビャクシン。木の精霊?が見えるんです。幹の中程、2つの目がこちらを見据えるかのように、はっきりとした顔の形。フクロウに似ています。長い歳月を生きてきた古木には神が宿る、と日本人は考えてきました。このビャクシンはまさにその姿を私たちに見せてくれる木だと思います。(写真左下)
3本目は、山門から向かうと右手に立つビャクシンです。こちらも樹皮に精霊の顔がいくつも刻まれているように見え、頂上にはなんと龍の姿をした枝が突き出ています。この木に棲む神さまが龍となって、天を駆け昇ろうとしているのかな、、、想像がふくらみます。(写真右下)
ビャクシンの木の下に立つと、生命エネルギーが降り注ぐような激しい気を感じます。今の自分の実力より遥かに高い目標を掲げたとき、実現の決意をこめて、会いに行きたい巨樹たちです。

★この木を見るポイント⇒ 幹の中、枝の形に「顔」が見える。探してみてください。誰かときっと出会えます。

【歴史を伝える】
建長寺は鎌倉五山の1つであり、禅宗の臨済宗建長寺派の本山です。1253(建長5)年、北条時頼(1227-1263)が建立しました。鎌倉にはビャクシンが多く、円覚寺、法戒寺、鶴岡八幡宮などにもありますが、ここ建長寺のビャクシンの大きさは特別です。「鎌倉イブキ」とも呼ばれ、地元の人々に愛されています。建長寺は創建以来、幾度も火災に見舞われ、創建時の建物は焼失して、ほとんどが江戸時代に建て直されたものです。境内に立つビャクシンだけが奇跡的に生きのび、現在も勢いは衰えることはない。激動の歴史を知る、命ある存在なのです。

【ビャクシンの教え】
炎に包まれても生きのびたビャクシンのように、人もまた、何度でも再生することができます。もしも突然の試練に倒れたときは、しばらく休んでいればいい。無理して起き上がることはないんです。心の傷を癒しなさい、カラダの傷を治しなさい。それから、ゆっくりと立ち上がる。急がなくてもいいのですよ。あなたが歩ける速度で1歩1歩、進んでいけばいいのです。魂の支えがほしいときは、私―ビャクシンに会いに来てください。

【この木に会いに行こう!】
JR「北鎌倉駅」駅下車。徒歩約20分。

(2010年5月撮影)

城願寺のビャクシン  Juniper in Kanagawa

上昇気流に乗って上ってゆく
約800年前に武将が植えた「勝利の木」


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s-20130126-byakusin joganji  zenntaiRIMG0003.jpg DATA of TREE
▽樹種:ビャクシン/別名イブキ(マツ科・常緑高木)
▽学名:Juniperus chinensis 
▽樹齢:800年以上
▽樹高:約20m/幹周り:約6m
▽所在地:神奈川県足柄下郡湯河原町城堀252 城願寺(じょうがんじ)
※国指定天然記念物

湯河原温泉に旅行に行ったら、会いに行ってほしい大樹です。 "木"なのに、動きまわるかのような姿。出会った瞬間に圧倒され、強い生命エネルギーを浴びることになるでしょう。

【木の特徴】
湯河原駅から徒歩10分。曹洞宗のお寺、城願寺へと向かう石段を上っている途中、木は見えない。鬱蒼とした鎮守の森が広がる中を歩く。「この石段の上に本当に巨樹が立っているのかな」と思っていると、突如姿を現した。大きなビャクシンが前のめりになりながら、勢いよく伸びていて、幹も枝もダイナミック! 幹はねじれ、らせん状に回転しながら上を目指しています。太い枝は真横に張り出し、右に向いたり、左に向いたり、素直にまっすぐ伸びる枝は見当たりません。しかも、私が鎮守の森と思っていたのはビャクシンの樹冠だったのです。枝葉がもくもくと空を覆って、自然が作り出した「大樹の門」といった姿でした。普段、大きな木の前に立つとホッとして、ゆったりとした安心感に包まれるものですが、この木の前では心が騒ぎます。胸の奥に隠していた何か、あきらめかけていた夢がむくむくと湧きあがり、もう一度挑戦したくなるようなエネルギーが込み上げてくるのです。勇気をくれる巨樹です。これから大きな一歩を踏み出そうとする人は会いに行ってみてください

★この木を見るポイント ⇒ らせん状に曲がりくねりながら昇っていく姿。

【歴史を伝える】
このビャクシンは、平安末期から鎌倉初期に活躍した武将、土肥実平(どひさねひら)が植えたと伝えられています。彼は城願寺の持仏堂(じぶつどう)をこの地に建てた人です。源頼朝に従った「頼朝七騎」の中心人物とされ、『源平盛衰記』や『吾妻鏡』にも登場します。平氏全盛の時代、石橋山の戦いにおいて、頼朝に従い、敗北に帰するが、臨機応変な作戦で主君を救ったと歴史にその名を残しています。城願寺は実平の菩提寺。境内には七騎(7人の武将)の木彫り像を祀る七騎堂があります。JR湯河原駅には実平夫妻の銅像があり、この地で愛され続けている武将です。実平が植えたビャクシンはすくすくと育ち、源氏と平氏の戦いを見つめ、室町、安土桃山へと続く戦乱の世を見つめ、江戸を見つめ、戦争を越え、ここに立っています。日本の歴史をつぶさに見つめながら、激しく、荒々しく、運命に抗い続けながらも、時を経て尚、天へと駆け昇るような勢いを感じます。

【ビャクシンの教え】
上昇気流に乗って、どこまでも昇れ!チャンスの風を逃がすなよ。

【この木に会いに行こう!】
JR「湯河原」駅下車。徒歩約10分。急な坂道、石段を上りきったところに立っています。

(2010年8月撮影)

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