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世界遺産・熊野速玉大社のオガタマノキ Michelia in 熊野

古来、神の霊を呼ぶご神木 
春には香りのよい花を咲かせます 

IMG_1807_R.JPG DATA of TREE 
▽樹種:オガタマノキ(モクレン科・常緑高木)
▽学名:Michelia compressa 
▽樹齢:不明
▽樹高:約21m/幹周り:約1.65m
▽所在地:和歌山県新宮市新宮1 熊野速玉大社(世界遺産)

【木の特徴】
古来、ご神木として崇拝されるオガタマノキが熊野速玉大社の境内に入ってすぐ右手に立っています。細い木ですが、幹は苔むして、古木の姿を見せています。春には芳香の強い君がかった白色の花を咲かせます。この葉を食べて育つミカドアゲハの飛来も楽しめるといいます。有名なナギのご神木とともにご覧ください。(2018年5月20日撮影)
★この木を見るポイント⇒苔むした幹。春には花。神の霊を呼ぶご神木として、見上げてみましょう。

【オガタマノキとは?】
関東以西の本州、四国、九州、沖縄に自生する常緑高木。冬も緑を絶やさないことから信仰の対象とされ、古来、ご神木として神社の境内など神域に植えられます。神棚に備える玉串にも使われます。名前の由来は、この木を神殿に備え、神の霊を招く習わし「招霊/おがたま」が転じたといわれています。

【歴史を伝える】
2004(平成16)年7月7日、熊野速玉大社は「紀伊山地の霊場と参詣道」として、世界文化遺産に登録されました。主祭神は、熊野速玉大神(いざなぎのみこと)と熊野夫須美大神(いざなみのみこと)。書物『熊野権現御垂迹縁起』(1164年長寛勘文)などによると、熊野の神々は初めに神倉山の磐座(ゴトビキ岩)に降臨されました。その後、景行天皇58年(西暦130年頃)、現在の地に新しい宮を造営して遷(うつ)られたことが記されています。神倉山の元宮に対し、この地は「新宮」と号されました。(参考文献:熊野速玉大社ホームページ)

【この木に会いに行こう!】
JR「新宮」駅からバスで約5分。熊野速玉大社の社殿に向かい合うように立っています。

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世界遺産・熊野速玉大社のナギ Nagi in 熊野

「ナギ」は縁結びのご神木
日本有数の巨樹、美しい姿は女神のよう

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DATA of TREE
▽樹種:ナギ(マキ科・常緑高木) 
▽学名:Nageia nagi 
▽樹齢:約1000年
▽樹高:約20m/幹周り:約6m
▽所在地:和歌山県新宮市新宮1 熊野速玉大社(世界遺産)
※国指定天然記念物」(1940(昭和15)年2月10日指定) 

【木の特徴】
熊野三山の1つ、熊野速玉大社の参道脇に立つご神木。樹高約20メートル、これほど美しい樹形のナギを見たことがありません。まさに神宿るナギです。根は1本ですが、途中から数株に分かれ、四方八方に伸びています。
1159(平治元年)、社殿の落成のとき、熊野三山造営奉行であった平重盛の手植えの木と伝えられています。
ナギは、熊野杉や天台烏薬(てんだいうやく・クスノキ科)とともに新宮市の「市の木」に指定(2018年5月20日撮影)
★この木を見るポイント⇒根は1つ、途中から数多くの枝に分かれる美しい樹冠。 (2018年5月20日撮影)

【ナギとは?】
ナギは「凪(なぎ)」に通じることから、葉は船旅、旅立ちのお守りとされてきました。ナギの実を束ねたものやナギの枝を護符にします。古来、女性が鏡の裏にナギの葉を入れる習わしがあります。これは「凪」の意から男女間に波風が立たないように。また、ナギの葉は切れにくいため、縁が切れないようにという願いが込められ、会いたい人の姿が鏡裏に浮かぶと言い伝えられてきました。縁結びのご利益があります。

【この木に会いに行こう!】
JR「新宮」駅からバスで約5分。熊野速玉大社の熊野神宝館のちょうど向かいに立っています。

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【歴史を伝える】
2004(平成16)年7月7日、熊野速玉大社は「紀伊山地の霊場と参詣道」として、世界文化遺産に登録されました。主祭神は、熊野速玉大神(いざなぎのみこと)と熊野夫須美大神(いざなみのみこと)。書物『熊野権現御垂迹縁起』(1164年長寛勘文)などによると、熊野の神々は初めに神倉山の磐座(ゴトビキ岩)に降臨されました。その後、景行天皇58年(西暦130年頃)、現在の地に新しい宮を造営して遷(うつ)られたことが記されています。神倉山の元宮に対し、この地は「新宮」と号されました。(参考文献:熊野速玉大社ホームページ)
★写真/神倉神社。上左:熊野の神が最初に降り立ったという神倉山の頂上にはゴトビキ岩。上右:頂上からの風景。下左:神倉神社へと登る538段の急な石段。下右:神様がいらっしゃる磐座。地元の人は社殿ではなく、その右手、こちらでお参りをする。


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野中の一方杉 Cedar in 熊野古道

一つの方向にしか枝を伸ばさないから「一方杉」 
那智山に心を向ける、継桜王子のご神木 

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DATA of TREE
▽樹種:スギ(スギ科・常緑高木)
▽学名:Cryptomeria japonica
▽樹齢:約800年
▽樹高:約40m/幹周り:約8.15m
▽所在地:和歌山県田辺市中辺路町野中 継桜(つぎざくら)王子社 
※和歌山県指定天然記念物 

【木の特徴】
参道を歩いて左手にある、ひと際大きなスギが左の写真。樹齢は約800年といわれています。
「一方杉(いっぽうすぎ)」という名前の由来はその枝の様子から。南方向、熊野本宮大社のある那智山に向かって、枝が伸びることから名づけられました。実際は、木の性質によるもののようです。ご案内くださった巨樹写真家のH.Takahasi氏によると、「南に面した、かなり急な斜面に立つため、南側に成長が促進された」と考えられるそう。一方向に伸びるその枝々はどれも太く、熊野の神さまのほうへ手を差し伸べるかのような姿は神秘的ですね。境内には5~6本のスギがあります。枝の向きをそれぞれチェックするのも楽しいかもね♪(2018年5月20日撮影)
★この木を見るポイント⇒ 枝の方向に注目を。熊野本宮大社の方向に枝が伸びています。

【歴史を伝える】
熊野古道、中辺路(なかへち)の神社「継桜王子社」の境内に立っているスギです。継桜王子の名前の由来ともなった物語が語り継がれています。平安時代の武将、藤原秀衡(ひでひら)夫妻が子供を身籠ったお礼参りをする途中、妻が赤ん坊を産み、その子を乳岩に置いて熊野詣を続けた。戻ってみると子どもは元気でいたという、熊野権現のご加護を表す桜の伝説です。この桜の木についてはまたいつか。

【この木に会いに行こう!】
熊野古道、中辺路(なかへち)の近露(ちかつゆ)王子から、徒歩約1時間30分。継桜王子社への道々、茅葺き屋根の「とがの木茶屋」で休憩を。とても親切な店主さんです。「どうぞひと休みしていってください」とおいしいお茶を入れてくださいました。近くにある、日本百名水の1つ「野中の清水」でのどをうるおすのもいいですね。

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高原熊野神社の大クスノキ Campher in 熊野古道

圧倒される大きさを誇るご神木 
森の斜面にどっしりと立つ 

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DATA of TREE
▽樹種:クスノキ(クスノキ科・落葉高木) 
▽学名:Cinnamomum camphora 
▽樹齢:約1000年
▽樹高:約29m/幹周り:約10.35m
▽所在地:田辺市中辺路町高原1120

【木の特徴】
とにかく大きい! このクスノキの前に大人6、7人が横並びで立てるほどの幹周りを想像してみてください。社殿後方の斜面に立ち、根をしっかりと張っています。写真でその迫力を見せられないのが残念ですが、森の王様といった堂々たる姿。幹の裏側にまわるとその大きさがさらに迫ってきます。境内には3本のクスノキのご神木が立っています。(2018年5月20日撮影)
★この木を見るポイント⇒大きく根を張る。境内に3本の大楠。

【歴史を伝える】
熊野・高原地区の産土神(うぶすながみ)。熊野古道の中辺路(なかへち)沿いにあり、「不寝(ねず)王子」と「大門(だいもん)王子」との間に位置します。応永9(1402)年、ご神体が熊野本宮大社から勧請されたと伝わっています。

【この木に会いに行こう!】
熊野古道・中辺路(なかへち)、熊野三山の聖域への入口「滝尻王子(たきじり・おうじ)」から約3.7キロ。バスの場合は、JR「紀伊田辺」駅から龍神バス「熊野本宮」行きで約40分、「滝尻」下車、熊野古道を徒歩1時間45分。タクシーの場合は、JR「紀三井寺」駅からタクシーで約5分。高原霧の里からの眺めも楽しみたい。

 
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蟻通(ありどおし)神社の2本のクスノキ Camphor in 熊野

神門すぐには「火消し」のクスノキ
境内中央には「縁結び」のクスノキ

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DATA of TREE
▽樹種:クスノキ(クスノキ科・落葉高木) 
▽学名:Cinnamomum camphora 
▽樹齢:不明
▽樹高&幹周り:ともに不明
▽所在地:和歌山県田辺市湊19-6
 
【木の特徴】
地元で御霊(ごりょう)さんと呼ばれる小さな神社に、2本のご神木が立っています。
<1本目:上左写真>神門をくぐると目の前に、馬の像を従えたクスノキがそびえています。幹には大きな傷あとがあります。安政元年、大地震のために火災が起きたとき、このクスノキの幹や枝から白水が噴き出し、同時に風向きが変わり、延焼をまぬがれたことから、「霊樟(れいしょう)」と崇拝されています。
<2本目:上右写真>境内の中央に立つご神木。根元は1つで、途中から2本に分かれて伸びる「連理(れんり)※」の姿をしています。こうした特徴を持つご神木は「縁結び」のご利益があるとされ、注連縄にはたくさんのおみくじが結ばれていました。(2018年5月19日撮影)
★この木を見るポイント⇒神門を入ってすぐのクスノキは裏側に傷あと、木のまわりの馬、シカ、ヤギ。境内中央にあるクスノキは1つの根から2本の幹が成長する縁結びの姿。

【連理のご神木とは?】
1つの根から2本の幹が伸びる木、また、別々の2本の木が途中で1つにつながった木を「連理の木」と呼びます。蟻通神社のクスノキは前者の形。連理のご神木は、縁結び、夫婦円満、男女和合などのご利益があると崇拝され、日本全国にあります。

【この木に会いに行こう!】
JR「紀伊田辺」駅から徒歩約10分。

【歴史を伝える】
「蟻通(ありどおし)」という神社の名前にまつわる故事。昔々、紀州田辺に外国の使者が訪れ、「法螺貝に1本の糸を通してみよ、もしできなければ、日本国を属国にしてしまうぞ」と言いました。ひとりの若い神様が蜜(みつ)と蟻(あり)を使って、見事に糸を通しました。それを見た外国の使者は「日の本の国はやはり神国である」と恐れ、その知恵に感服して逃げて行きました。蟻によって法螺貝に糸を通したことから「蟻通しの神」と呼ばれ、知恵の神として崇拝されることとなりました。

20180519_174146_R.jpg20180519_174236_R.jpg神門をくぐってすぐの霊樟のまわりに注目。シカ、ヤギ、馬を発見!
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