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八重垣神社の玉椿 Camellia in Shimane 

まんまるい樹冠の良縁ツバキ 
大切なあの人と"赤い糸"を結びます  

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DATA of TREE
▽樹種:ツバキ(ツバキ科・常緑高木)
▽学名:Camellia japonica 
▽樹齢:約400年
▽樹高:約8m/幹周り:約1.6m
▽所在地:島根県松江市佐草町227
▽花の見頃:3月下旬~4月上旬

出雲大社からバスで約20分のところに、男女のご縁を結んでくださる八重垣(やえがき)神社があります。境内には縁結びを象徴する形「連理(れんり)」のツバキがたくさん立っています。「連理」とは2本の木が途中から1本になって成長する木の姿のこと。その始まりの木が神社の正面に立っている「玉椿(たまつばき)」です。

【木の特徴】
日本の"結婚"の聖地、八重垣神社。八岐大蛇を退治した素盞嗚尊(スサノヲノミコト)が稲田姫命(イナダヒメノミコト)と、日本で初めて"結婚"という形を結び、男女の<縁結び>の道を開かれたことが始まりの神社です。2人が結婚したとき、大地に立てた2本のツバキが芽を吹き出し、一心同体の形に成長していきました。「玉椿」と呼ばれて親しまれ、立て看板には「神秘の夫婦椿」。太い幹が2本、寄り添うように癒着して、ふくよかなお尻のようなシルエットで1本になり、上へと伸びていっています。樹冠はまんまるで、ふくふくと笑い合う、仲良しの夫婦みたい・・・。「夫婦円満」「幸せな家庭」を象徴するような形です。こんな歌が案内板に書かれていました。

「出雲八重垣、祈願をこめて、末は連理の玉椿」

神話の時代から現代まで、「愛」の象徴として崇拝されているツバキ。木肌はさらさらとして肌触りがよく、葉はツヤツヤとして美しい。女性の魅力を高め、美しさにもご利益があるといわれるツバキです。あの資生堂の花椿マークになったのはこの木だそう。私が訪れたお正月、ツバキの花はまだ咲いていませんでしたが、まあるい樹冠、ふっくらした幹を眺めているだけでもホッと心があたたかくなるような幸福感に包まれました。

★この木を見るポイント⇒ 2本の幹が途中でくっついて1本になり、一心同体で成長している。まるい樹冠も可愛い。

【歴史を伝える】
八重垣神社の境内にも連理のツバキがあります。不思議なことに、木が枯れても、境内のどこかでまた連理のツバキが芽を出すと伝えられ、現在は3本の夫婦椿があるといわれています。お土産には八重垣神社のお守りの一つ「縁結びの糸」を。赤い糸と白い糸とが入っていて、男女のご縁を深く結んでくれますよ。

【ツバキの教え】
ひとつご縁を結べば、幸せがひとつ訪れる。ふたつご縁を結べば、幸せがふたつ訪れる。1本のツバキはあなたです。ご縁に気づかないままにすれ違ってしまう友がいないように、愛の結び人になりなさい。

【この木に会いに行こう!】
JR「松江市」駅から、八重垣神社行きのバスで約25分、終点下車すぐ。出雲大社から向かうなら一畑電鉄「電鉄出雲市」駅からバスで約20分。

(2008年撮影)

八重垣神社の夫婦椿 Camellia in Shimane 

2本が1本でつながって、一心同体でのびていく
運命の人を導く、連理のツバキ

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DATA of TREE
▽樹種:ツバキ(ツバキ科・常緑高木)
▽学名:Camellia japonica 
▽樹齢:不明
▽樹高:不明
▽所在地:島根県松江市佐草町227 八重垣神社
▽花の見頃:3月下旬~4月上旬

【木の特徴】
別々の場所で生きていた男と女とが引き寄せられるように出会い、結ばれる......。その神秘を象徴するツバキが出雲にあります。「夫婦椿」「子宝椿」とも呼ばれる連理のツバキです。別々に芽を出し、成長した二本の幹が途中でくっついて一本になる神秘的なツバキ。八重垣神社の鳥居をくぐってすぐのところに立っています。樹皮がほんのりとピンク色をして、嬉しくて頬を染めたみたいで幸せそうです。
★この木を見るポイント⇒ 2本の幹が途中でくっついて、1本になって伸びていく。

【歴史を伝える】
この神社は八岐大蛇を退治したスサノオノミコトが稲田姫命と日本で初めて〝結婚〟という形を結んだことが始まり。境内のあちこちに、男女和合を象徴するような木の幹、樹皮の形、洞穴などがあります。そのそばには千羽鶴やお菓子のお供え、お賽銭があり、願いをかけた人々の思いが伝わってくるようです。

【ツバキの教え】
無理やり繋がろうと思わなくてもいい。ご縁があれば、時が経っても、人は結び合うものだから。

【この木に会いに行こう!】
JR「松江市」駅から、八重垣神社行きのバスで約25分、終点下車すぐ。出雲大社から向かうなら一畑電鉄「電鉄出雲市」駅からバスで約20分。

(2010年撮影)

№54 吉島稲生神社のヤブツバキ in 広島

町で愛される小さな神社の境内に 
寒い冬から初夏の初めまで、真っ赤な花を咲かせます 
A-bombed Ring-cup oak in HIROSHIMA


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▼爆心地からの距離:2,160m
▼所在地:広島市中区吉島西1-8-6
▼ツバキ科・常緑高木
▼樹齢70年以上
▼樹高:不明/幹周り:不明

【木の特ちょう―5樹種の被爆樹木とともに】
地元で愛されている「吉島稲生(よしじまいなり)神社」。境内入口、石造りの鳥居の根元にヤブツバキが立っています。冬、寒い時期から4月初旬頃まで真っ赤な花を咲かせます。爆心地から約2キロ、熱線や火災による焼失をまぬがれたためか、境内には多くの被爆樹木が残っています。ヤブツバキのそばにはクロマツ、ひときわ大きいクスノキ、エノキ、ひっそりとクロガネモチが今も元気で育つ神社です。2015年5月撮影

【被爆を伝える】
木々に守られて崩壊しなかった社務所は被爆によって傷ついた人々の避難所になりました。爆心からここまで避難してくる人々が大勢いました。

【この木に会いに行こう!】
JR広島駅から広島バス「吉島営業所」行きで「吉島1丁目」で下車、徒歩1分。広島平和記念資料館から徒歩約30分。資料館をスタートに本川(旧太田川)沿いに南へ歩くと、住吉神社のマツ、浄西寺のイチョウ、そこから約15分で吉島稲生神社に到着する。被爆樹めぐり所要時間30~40分。

≪DATA of A-Bombed Trees≫
Camellia/The Yoshijimainari-Jinja Shrine  2,160m from the hypocenter
botanical name:Camellia japonica
age:about 70 years old
height:? m
surroundings:?m
address:1-8-6 Yoshijimanishi Naka-ku,Hiroshima city

This tree survived the atomic bombing of Hiroshima, about 2,160m from the hypocenter. 
At 8:15 a.m, August 6,1945,Hiroshima was burned by the blazing heat of the atomic bomb. It had been rumored that"nothing will grow in Hiroshima for 70 years", so when people saw new buds sprouting,they were encouraged and were able to have hope for their future. It is alive!

★Let's go to see this tree !
30 minute walk from the Hiroshima Peace Memorial Museum . There are other A-bombed trees, including a Comphor,a kurogane holly,a hackberry and two black pines.



№42 宝勝院のツバキ in ヒロシマ

かつては5メートルの高さがあったツバキ、 
被爆の翌年芽生え、今も花を咲かせています 
A-bomebed Camellia in HIROSHIMA


IMG_0989_R.JPG 【被爆樹 花めぐり】 
The flowers in the atomic bomb-scorched earth. Let us go to see the Atomic Bombed flowers!

▼爆心地からの距離:1,820m
▼所在地:広島市中区白鳥九軒町12-4
▼ツバキ科・常緑高木 
▼樹齢約400~500年、樹高:2メートル 幹周り:5本立ち

【木の特ちょう―根元にウロがある】
樹齢400年以上という八重咲きの赤いツバキ。原爆によって、ツバキは根元近くまで燃え、黒焦げになりました。根元に大きなヤケドあとがあり、えぐれたようなウロになっていますが、翌年、ツバキは芽吹き、やがて花をつけるようになりました。今でも毎年、枝いっぱいに花をつけています。2017年4月撮影

IMG_1737_R.JPG 【被爆を伝える】
被爆直後、「70年間、草木も生えない」と新聞に記事が出て、当時のご住職と、16歳だった現名誉住職の國分良徳さん一家は、「もう広島で生きていけないのではないか」と四国の親戚を頼って、この地を離れることも考えていました。しかし、境内では早いうちにボダイジュの木が芽生え、畑では里芋も芽を出し、「大丈夫だ、ここで生きていける」とこの地でお寺を再建することを決めました。ボダイジュも広島市登録「被爆樹木」となっています。

【この木に会いに行こう!】
広島駅から徒歩約20分。路面電車「白島」駅から徒歩10分。

≪DATA of A-Bombed Trees≫
Camellia/in Hoshoin Temple
1,820m from the hypocenter
botanical name:Camellia japonica cv.
age:about 400-500 years old
height:2m
address:12-4 Hakushima-kukencho, Naka-ku, Hiroshima

This tree survived the atomic bombing of Hiroshima, about 1,820m from the hypocenter. 
Before the War, there were a tree in Hoshoin Temple. The Atomic bombed camellia put forth new shoots in the burnt-out ruins of the temple, encouraging people to have hope for the future. Mr.Kuniwake and his father rebuilt the temple in the same place.

★Let's go to see this tree !
20 minute walk from the Hiroshima station. There is this tree in Hoshoin Temple. There is other A-bombed trees, including a Bodaiju(Tilia miqueliana).
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大船渡市の三面椿  Camellia in Iwate 

1400年の時を生きる
希望のツバキ

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 一千年を越えてこの地に立ち、海に向かって枝を伸ばすヤブツバキ。日本最古のツバキともいわれています。神社創建の頃、東、西、南の三方向に植えられていたことから「三面椿」の名前があります。現在は東側のツバキだけが残っているそうです。四月、樹冠いっぱいに花が咲き乱れ、真っ赤に染まるほど。命が叫ぶかのような激しい赤、赤、赤。
 2011年3月11日、このツバキの前まで津波が押し寄せたといいます。震災後は避難所となっていた熊野神社。私が訪れた日、境内では小さな女の子が二人遊んでいました。お姉ちゃんと妹。無邪気に追いかけっこをする様子をおじいさんが微笑みながら見守っていました。「写真を撮ってやってくれないか」と頼まれたのでカメラを向けると、ちっちゃな妹のほうは恥ずかしがって逃げてしまいました。お姉ちゃんのほうはツバキの前にちょこんと座って撮らせてくれました。とってもかわいい女の子でした。こんなところまで津波が?と思うほど高台に立つ熊野神社で、今、生きている人たちが笑っている。写真を送りますというと、「いらないよ。写真に撮ってくれたというだけでうれしいんだから。気にせんでくれ」とおじいさんは答えました。いつか渡せたら...と思っているのだけれど。
 今年も、何事もなかったように咲いた真っ赤なツバキは、この土地に生きる人々の<いのち>の灯のように思えてきます。これからも人々の生きる希望であり続けるのではないでしょうか。

◎樹種/ツバキ(ツバキ科)
◎樹齢/約1400年
◎樹高/約10m
◎幹周り/約8m
◎所在地/岩手県大船戸市末崎町字中森 熊野神社内
(2011年9月現在)

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