草薙神社のクスノキ Camphor in Shizuoka
神剣の力を秘め
大地を駆けるクスノキ
この物体は何ものなのか? 生きているのか枯れているのか?と疑問に思ってしまうほど不思議な形をしたご神木です。だいたい上に向いて立っていません。物凄い迫力で、木の塊のようなものが横に這っています。だから、いつものように木を見上げることはできません。失礼とは思いながら、ご神木を上から見下ろす姿勢になってしまいます。
この木の幹の内側はすでに枯れて、外側の樹皮だけを残した状態。それでも枝は伸び続け、緑の葉を湛えています。
しばらく眺めていると、龍の姿に見えてきました。顔をぐいっと前に向け、大地を駆け、空を舞う龍神がご神木に形を変えてこの世に残ったような。とにかく力強い気を感じるクスノキです。
クスノキが立つ土地は三種の神器のひとつ、「草薙の剣」の故郷といえる場所だそうです。日本武尊が火攻めにあった時、剣を抜いて草をなぎ倒し、難を逃れたという伝説が残っています。ご神体の剣はその後、天武天皇の勅命で熱田神宮に移され、現在に至ります。もしかすると、クスノキは神剣の現し身であるのかもしれません。
◎樹種/クスノキ(クスノキ科)
◎樹齢/約1000年
◎樹高/約25m
◎幹周り/約6m
◎所在地/静岡市清水草薙349 草薙神社
(2010年3月現在)