日比谷公園の首賭けイチョウ Gingko in Tokyo
大切な人を守る
記憶をもつイチョウ
ひとりの男が守り抜いたイチョウです。
男の名前は本多静六。「日本の公園の父」といわれ、日比谷公園を始め、明治神宮の森や全国の公園を創った林学博士です。一代で巨億の富を築いたことでも有名で、その思想は現代にも通じる成功哲学として信頼されています。
明治32年頃、道路拡張のため伐られそうになったのを本多氏が「私の首をかけても移植させる」と言って守ったため、この呼び名になりました。
彼が守ったイチョウは今、大きく成長し、そこにあるのがあたり前の存在として私たちを楽しませてくれます。特等席はレストラン「松本楼」の窓際。木の命の力を感じながら食べたり話したりしていると、気心の知れた友達が隣にいるように思えてきて、ほっとあたたかな気持ちになるのは私だけでしょうか。一緒に過ごした人との時間がその時々の木の風景とともに思い出に変わる幸せ。イチョウの記憶の中にも、守ってくれた人やそこで過ごした人への思いはきっと残っていると思います。人と木とが共存する喜びを伝えてくれる木です。
◎樹種/イチョウ(イチョウ科)
◎樹齢/約400年
◎樹高/約21.5m
◎幹周り/約6.5m
◎所在地/東京都千代田区日比谷公園 レストラン松本楼前
(2013年7月現在)