大船渡の三陸大王杉 cedar in Iwate
人々を勇気づけた大きな杉の木
瓦礫の山を見下ろすように立っていた
DATA of TREE
▽樹種/スギ(スギ科)
▽樹齢/約7000年(伝承)
▽樹高/約20m
▽幹周り/約13.75m
▽所在地/岩手県大船渡市三陸町御喜来字杉下 八幡神社境内
※市指定天然記念物(1978年指定)
2011年3月11日、東日本大震災を生きのびた木をご紹介します。
【木の特徴】
大震災から約半年、9月に撮影した大王杉の姿です。樹齢約7000年とも伝わるこの木はとにかく大きい。こんもりと繁る樹冠、みずみずしい緑、どっしりとした太い幹。「大王」の名にふさわしく、御喜来(おきらい)漁港を見下ろす高台にそびえています。大震災の日、このスギの手前まで津波が押し寄せたと伝わります。私が訪れたときはまだ、海岸沿いを見下ろすとガレキが山積みでした。人の姿はなく、ガレキを片付ける重機の音だけが響いていました。下から大王杉を見上げれば、鎮守の森からにょっきりと顔を出し、杉にしては珍しい、まんまるい樹冠が緑いっぱいに広がって、地元の人を元気づけていました。地名の「杉下」はまさに、このスギの下、という意味でつけられたそうです。少し急な細い坂道と階段を登りきったところに大王杉は立っていますよ。(2011年9月24日撮影)
★この木を見るポイント⇒ とにかく大きいこと。
【歴史を伝える】
東日本大震災から約10年。多くの人があの日の悲しみを背負い、大切な人への思いを胸に生きていらっしゃることと思います。自然の恐ろしさを知った日々。津波をかぶって今なお立ち続ける木があります。木の直前まで津波が押し寄せ、建物の倒壊を防いだ木もあります。この大きなスギは東北の人々の生きる力となった木のひとつです。写真右下の眼下に見える細長い木は、津波をかぶっても生きのびたポプラの木。こちらも「ド根性ポプラ」と名づけられて、地元の人たちに愛されています。人間よりも遥かに長い歳月を生きる木は、3.11の記憶を伝える生き証人であり続けると思います。
【この木に会いに行こう!】
三陸鉄道「三陸」駅下車、徒歩約10分。大王杉がある場所までは階段をかなり上ります。
【スギの教え】
今、微笑むことができることに感謝する。