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北金ケ沢のイチョウ Ginkgo in Aomori

日本一大きいイチョウの木  
最も美しい黄葉のときに会いました 


IMG_5174.jpgのサムネイル画像 DATA of TREE
▽樹種:イチョウ(イチョウ科・落葉高木) 
▽学名:Tilia miqueliana 
▽樹齢:約1000年(国指定天然記念物)
▽樹高:約30m/幹周り:約18.8m
▽所在地:青森県西津軽郡深浦町北金ケ沢字塩見形356


数年前の秋の思い出。青森へ旅し、イチョウ巡礼。日本海側の津軽からスタートして、太平洋側の八戸、十和田へと横断する旅では、最高に美しい季節のイチョウとの巡り合いがありました。

【木の特徴】
銀杏色(いちょう・いろ)とはまさにこのこと?推定樹齢は約1100年。"日本でいちばん大きいイチョウ"として、堂々たる威厳を見せていました。初めて訪れたこの日、最も美しい黄葉の瞬間に出会えたことは奇跡です。こっくりとしたオレンジ色の葉。甘い蜜の香りが漂ってきそうな飴色というか、おいしそうな色。根元までオレンジの葉が覆い、地面すれすれまで枝が枝垂れて、美しい。見事な樹冠を繁らせて、枝々が空に向かって勢いよく伸びています。宮沢賢治の童話『いちょうの実』に木の精霊たちがいっせいに飛び立つシーンが出てきますが、まさにそんな勢いのある枝々の姿に酔いました。イチョウの古木ならではの「乳柱(ちちゅう)」もたくさんあり、お乳の出ない母親たちが願を賭けて、お参りするご神木。1メートルは超える乳柱も数多く垂れ、その1本は根づいて、新たな幹となりつつある姿は次世代に命を継ごうとするよう。なんとも神秘的なイチョウとの出会いでした。今度はいつ会いに行けるかな。

★この木を見るポイント⇒ 大地に根ざした乳柱。枝垂れた葉の間からはすぐ近くを五能線の列車が走って行くのが見えます。

【歴史を伝える】
青森県は巨樹ベスト10に名を連ねる木が何本もあるイチョウの里です。この木は日本一。中国や韓国にもこれほど大きなイチョウはなく、つまり世界一のイチョウである可能性が高いといいます。しかし、国の天然記念物に認定されたのは2004年9月と意外に最近のこと。幸か不幸か、それまで気づかれずにいたのでしょう。肩書などなくても、地元の人々が愛し、崇拝し、大切にしてきたイチョウです。

【この木に会いに行こう!】
JR五能線「北金ケ沢」駅、徒歩約10分。

【イチョウの教え】
緑から黄色へ、黄色から黄金色へ。葉の色が移り変わる間にも刻々と、あなたは変わっていく。あるひとつの時間が過ぎ、ゆっくりと次の時間が始まる流れを、イチョウの葉の色に見つけなさい。

(2014年11月撮影)