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宇宙樹の庭 メインイメージ121209更新

世界中に、木と人とがこころを通わせる物語が残っています。
誰もが行けるわけじゃない、幻かもしれない森の奥……、
大きな木のある大きな庭―「宇宙樹の庭」のことをお伝えします。

冬、木は葉っぱのたまごを育てている

s-tengu shide in Hiroshima.jpg 冬の宇宙は、「たまご」を抱えている木たちがいっぱい。

一本の木を見かけたら、枝の先っちょを見てみてください。小さな芽がふくらんで、葉っぱのたまごをあたためています。春になれば、たまごが割れて、淡い緑色の芽の赤ちゃんが顔を出すのです。

写真は広島県大朝町にある樹齢約130年、真冬の天狗シデ。


葉っぱのたまご 

冷たい冬
樹木はじっと耐えているように見えるけれど 
じつは違います。
葉っぱを落として、枝だけのシンプルな姿になって
新しい命を育てているのです。
枝の奥のほうに小さな小さな
人間の目には見えない葉っぱの卵を。
早くに春を迎える樹木は雪の降るなか
新芽の赤ちゃんを枝の先に抱いているものもいます。
幸せな気持ちで出産の準備をしている木々たち。
ぶるぶる震えながら、冬の寒さを我慢していると思うのは
人間の勝手な思い違い。
大好きなことをしているとき、誰もつらくはありません。
嬉しい気持ちでいっぱいです。
あなたが今、いちばん幸せに思うことは何ですか?
時間が過ぎるのも忘れて、打ちこんでしまう夢の卵。
誰に見られなくても、誰に気づかれなくても
あなたが嬉しいこころで重ねたことは
きっと、きらきらと輝く新芽となって
人生という春にいっせいに芽吹いていくことでしょう。


天狗シデの群生(カバノキ科・イヌシデ)
◎樹齢約130年
◎樹高12m・幹周り3m、県指定天然記念物
◎所在地/広島県山県郡大朝町
◎この木に会うには/高速バス・大朝インター下車、徒歩20分

書いた日:2009年1月6日(2016年3月7日UP)

雨の日に咲く花、エルスカ

20121015.jpg今日は宇宙樹の庭に咲いている花をあなたに紹介します。名前は「エルスカ」といいます。雨の日に咲く、青い花 【elska】。宝石のサファイアのように透きとおった濃い青色で、花びらはシフォンのスカーフを重ねたようなやわらかな肌ざわり。草むらや木の根元に、雨の日になると突然、花を咲かせます。風にふわふわ揺れるたびに、花びらの青色が淡くなったり濃くなったりして、それはもう美しいのです。たとえていうと、ヒマラヤにある青いケシの花に似ています。そう、この写真みたいな透きとおった青い花びら......。雪の日に、ひっそり咲くこともあるのです。白い景色の中にその一輪を見つけたら、「願い事がひとつ叶う」という言い伝えがあります。

書いた日:2012年12月20日

大きな木と暮らす

20121219.jpg 朝、目覚めると、私は「宇宙樹の庭」を散歩します。宇宙樹には小鳥たちが集まって、ピチュピチュ鳴いています。一日は、きよらかな空気と緑の匂いをいっぱいに吸う深呼吸から始まります。都会で生活していた頃、いつかこんなふうに朝、森を歩いて、心をきれいな空気で洗って、それからゆっくりと朝食をとってから机に向かう......という毎日を過ごしてみたいと願っていました。いつの間にか、願いが叶っていました。一本の大きな木とともに。
書いた日:2012年12月19日 

あれから4年経って、今日、書いた日を記入しました。そして今も、この宇宙樹の庭で一緒にいてくれた人がとなりにいることの幸せを思っています。
書いた日:2016年2月22日 

「生命の樹(宇宙樹)」を知っていますか?

IMG_7360_R.JPG 思えばずっと、宇宙樹を求めて、私は「木」の世界へと導かれてきたように思います。
2003年、北欧神話の宇宙樹ユグドラシルは私が暗闇から抜け出すきっかけとなってくれました。
2005年、ウィーンで偶然出会った古代ケルトの聖なる樹は私に誰かのために"書く喜び"を教えてくれました。
2008年から続けていた、故郷ヒロシマの被爆樹をめぐる取材と撮影の旅は昨年、一冊の本にまとめることができました。
『被爆樹巡礼~原爆から蘇ったヒロシマの木と証言者の記憶』
2016年、被爆71年目から80年へと新たな取材を始めました。 

2011年3月11日に起きた東日本大震災は、今の私には何ひとつできないことを痛感した出来事となりました。今、フクシマはOn goingの厳しい現実が続いています。原爆取材を通して、また、福島出身の人々との出会いを通して、できることを少しずつ、続けていきたいと思います。

そして今、美しい花々に誘われて、花と果実の神話の旅へ出かけたところです。
みなさまに報告することがたくさんあります。木のいのちの力、再生の力、人間の生きる力、愛する力。これからももっと増えていくでしょう。
「木」は、「花」は、私に何を現世でさせようとしているのか、いつかこの世を去る日にわかるのだと思います。 



戦後70年目の2015年7月出版
『被爆樹巡礼~原爆から蘇ったヒロシマの木と証言者の記憶』(実業之日本社刊)

※写真:花咲くボダイジュ(in ケルトの町ベナトキ,チェコ,2012年6月撮影) 


書いた日:2016年2月22日(月)

2016.1.6メルマガ「生命の樹World Treesシリーズ」

IMG_1656バリ島のガジュマル 候補1_R.jpg 「生命の樹」を知っていますか?
「大きな1本の木が世界を支えている」という樹木神話が世界各地にあります。生命の樹は、世界樹World Tree 、宇宙樹Cosmic Tree、Tree of Life などとも呼ばれ、宇宙の生成を木によって象徴しています。
遡れば、古代メソポタミア(シュメール文明)の時代から古代エジプト、古代インド、古代北欧など、多くの古代文化において、「生命の樹」にあたる木が存在しています。樹種は気候や風土によって様々です。代表的なものに、北欧神話に登場する世界樹ユグドラシルのトネリコ、お釈迦様が悟りを得たインドのボダイジュ、古代エジプトに壁画が残るイチジクの木......。
毎回1つの樹種を取り上げて、木の文化と歴史、神秘の物語世界へお連れします。
1年を通して「生命の樹」をたどっていくと、日本のご神木と海外の聖なる樹との共通点が見つかるかもしれないと、私自身、とても楽しみにしています。

 
 
【メルマガのお知らせ/毎月2回(6日、21日)配信中】
連載フォトエッセイ『foomii杉原梨江子の聖樹巡礼~巨樹が語る森の知恵』
今年2016年1月6日から「生命の樹World Treesシリーズ」を始めています。

『foomii杉原梨江子の聖樹巡礼~巨樹が語る森の知恵』生命の樹シリーズ 
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★写真:バリ島のガジュマル。ご神木として祀られ、街のあちこちに立っていました。
書いた日:2016年2月22日(月)

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