光岡八幡宮の大楠 Camphor in Fukuoka
人生という大地に根を張り
新しい誕生を導く木
木と一体化するという神秘を体感させてくれる楠です。その魅力はなんといっても根張りのすごさ。巨大な根が土からむき出て垂直に、大地を貫くようにどっしりと張っています。自分の人生という大地にしっかりと立ち、根を張る力を導いてくれるようです。その足のような根と根との間に洞穴があったので無性に入ってみたくなりました。身をかがめて穴の中へと進み、ぽこんっとはまった時の気持ちよさといったら! 一瞬で、心も体もすーっと鎮まっていきました。
静かに呼吸するうちに肉体はゆらゆらと揺れ、樹液の中を漂うような感覚に包まれていきました。狭いはずの洞穴が無限に広がり、まるで大きな楠の一部になったかのようです。私は思うままに樹冠の上まで枝を伸ばしてみたり、根をつたって大地の奥底まで行ったりしました。心理学の世界では樹冠は頭、幹は胴、根は足にたとえられますが、洞穴は子宮でしょうか。うっすらと目を開けると外の光がまぶしく、ここから出ることは新たな誕生となると確信できます。
◎樹種/クスノキ(クスノキ科)
◎樹齢/約500年
◎樹高/28・6m
◎幹周り/9・2m
◎所在地/福岡県宗像市光岡
(2009年6月現在)