№17堀北端、RCC北西側のクスノキ in 広島城
原爆による被爆のあとが痛々しい木
火が燃え移り、ひどいヤケドを負いました
A-bomebed Camphor tree in HIROSHIMA
【被爆樹(ヒバクジュ)の傷あと】 Scars of A-Bomebed Tree
原爆からよみがえった木の多くが「被爆の傷あと」を残しています。今日は<ヤケドあと>のある木を紹介します。
▼爆心地からの距離:1,120m/広島市中区基町21
▼クスノキ科・落葉高木
▼樹齢70年以上 樹高:11m 幹周り:2.8m
【木の特ちょう―ヤケドのあとがある】
爆心地とは反対側の根元に大きな「ヤケドあと」があります。そばにあった建物で火災が発生し、近くに立っていたクスノキに燃え移ったからです。樹皮が焼けただれたようになり、ウロもできています。傷口をふさぐにはまだ時間がかかりそうです。幹が大きく曲がっているのは、原爆による爆風で折れた後、現在の向きに枝が生長したとされています。木は、8月6日の記憶をしっかりとその姿に刻んでいます。しかし、痛々しさはありません。むしろ堂々と、自分の傷をさらして、「よく見ろ! 原爆がつくったこのひどい傷あとを」と言っているような、潔さを感じるクスノキです。2015年5月撮影
【被爆を伝える】
木の後方に見えるのが広島城。現在、国の史跡となっています。原爆で倒壊、焼失しましたが、1958年、広島城郷土館(現在の博物館「広島城」)となり、城内を見学することができます。
【この木に会いに行こう!】
路面電車「紙屋町東」から徒歩20分。広島城大本営跡から石橋を渡り、裏御門跡を出て、中国放送(RCC)本社を右手に見ながら、外堀を歩いて約5分ほど。
≪DATA of A-Bombed Trees≫
Camphor tree/Castle Mort (north side)
1120m from the hypocenter
botanical name:Cinnamomum camphora
age:over 70 years old.
height:11m
surroundings:2.8m
address:21 Moto-machi Naka-ku, Hiroshima city
This tree survived the atomic bombing of Hiroshima, about 1120m from the hypocenter. The tree is bent due to the atomic bombing. The trunk has burn by fire. The Hiroshima castle tower was also destroyed by the atomic bomb but rebuilt in 1958 as a history museum. Apr,2015 Shooting
★Let's go to see this tree ! 20minute walk from the A-bomb Dome. There is this tree in Hiroshima-jo Castle. There is other A-bombed trees, including Eucalyptus, Giant pussy willow, hackberrys
№19 報専坊のイチョウ in ヒロシマ
約100年前、長男が生まれた記念に植えられた誕生木
被爆イチョウを守るように、本堂の設計が考えられています
A-bomebed Ginkgo tree in HIROSHIMA
▼爆心地からの距離:1,120m/広島市中区寺町3-3▼イチョウ科・落葉高木
▼樹齢100年以上
▼樹高:22m/幹周り:2.5m
【木の特ちょう―ヤケドあと、爆心地のほうへ傾斜】
お寺の本堂の前に堂々と立つイチョウ。黄金に染まる姿はとても優雅です。秋には銀杏をたくさん実らせるんですよ。被爆樹の特ちょうがよくわかる木です。幹にはウロがあり、樹皮が傷を癒そうと裂け目を覆っていますが、縦長の大きな亀裂が残ったままです。落葉した頃、訪れると、幹の様子がよくわかりますよ。爆心地のほうへ傾いているのも特ちょうです。2016年11月撮影
【被爆を伝える―木を守るための本堂設計】
このイチョウとともに伝え続けたいエピソードがあります。実はこのイチョウ、一時は伐られることが決まっていました。新しい本堂を再建するためです。すでに設計も決まり、イチョウを伐る計画が進んでいました。けれど、「子供の頃、この木の下で遊んだねえ」という声がちらほら。原爆症で苦しんでいた女性は「原爆から蘇った木がこんなに元気で立っているのを見ると、私も元気で生きていこうという気持ちになるんよ。伐らんでほしいねぇ」という声もあって、「イチョウを残そうや」と言う人々の意見が大きくなっていきました。何よりも、この木は前住職(現・坊守さんのお父様)が生まれた時の記念に植えられた誕生木でした。こうして、イチョウは伐らないで本堂を建てることとなり、"イチョウを守る"建築設計に考え直されたのです。写真をよく見てください。木の周囲を囲む階段、木の後方には風を通すための通気口、根元は土を残しました。根を守るため、木のそばへうっかり立ち入らないようなデザインなど工夫もされています。このお寺では、原爆を直接知る家族はほとんど亡くなられましたが、ご住職さんと奥様(坊守)が原爆の伝承を続けていらっしゃいます。被爆樹の1本1本に家族の思い出があり、「木を守る人、人の記憶を伝える人」がいることの尊さを伝えたいイチョウです。
【この木に会いに行こう!】
路面電車「別院前」から徒歩1分。原爆ドームから徒歩約20~30分。
≪DATA of A-Bombed Trees≫
Ginkgo tree/The Housenbou-temple
1120m from the hypocenter
botanical name:Ginkgo biloba
age:100 years old over
height:22m
surroundings:2.5m
address:3-3 Tera-machi Naka-ku,Hiroshima city
This tree survived the atomic bombing of Hiroshima, about 1120m from the hypocenter.The ginkgo tree is about100 years old. The tree is bent due to the atomic bombing. The trunk has scars. When the chief priest and his family rebuit the new main hall of the temple,they did not want to cut the ginkgo tree.Now the tree is standing in this spase created in the staircase that leads to the main entrance.There are openings for ventilation in the staircase.So the tree would not suffocate.Apr,2015 Shooting
★Let's go to see this tree !
20-30minutes walk from the A-bomb Dome. 1minute walk from the Betsuin-mae station.
№22天満小学校のプラタナス in ヒロシマ
幹に大きなウロを残したままで、
秋、校庭に立つ4本が黄色に染まります
A-bomebed Plane tree in HIROSHIMA
▼爆心地からの距離:1,270m▼所在地:広島市西区天満町1-27
▼スズカケノキ科・落葉高木
▼樹齢80年以上
▼樹高:4.5m/幹周り:2.10m、2.15m、1.83m、1.32m
【木の特ちょう―大きな「うろ」がある】
1931(昭和6)年、卒業記念に植えられた約10本のうち、生き残った4本が"天満小学校のシンボル"として、子供たちを見守っています。すべての幹(みき)に、ぽっかりとあいた大きな洞(うろ)があります。2016年11月撮影
【被爆を伝える】
原爆が落とされたとき、学校の建物は全壊全焼し、子どもたちと教師約293人が亡くなりました。天満小学校では年間を通じて、このプラタナスとともに「平和って、何?」をみんなで考える教育が行われています。2015年5月には、組体操でプラタナスの「被爆と再生」を子どもたちが表現しました。
【この木に会いに行こう!】
路面電車「天満町」で下車。徒歩3分。※学校に連絡してからお出かけください。電話番号は天満小学校ホームページに記載されています。
≪DATA of A-Bombed Trees≫
Plane tree /Tenman Elementary School
1,270m from the hypocenter
botanical name:Platanus orientalis
age:over 80 years old
height:about 4.5m
surroundings:2.10m、2.15m、1.83m、1.32m
address:1-27 Tenman-cho Nishi-ku,Hiroshima city
This tree survived the atomic bombing of Hiroshima, about 1270m from the hypocenter.
When the Atomic bombing was dropped on Hiroshima, children and teachers died in this school. 293 people were murdered. The trees were burned by the atomic bombing,too. They had the big scars. They were the symbol of This school. Apr,2015 Shooting
★Let's go to see this tree !
3 minute walk from the Tenmancho station.
№23 広島平和公園のアオギリ Parasol tree in Hiroshima
被爆樹のシンボル
アオギリ二世が世界中で育っている
The parasol tree is the symbol of A-Bombed Trees.
The young plants of this tree is growing up in Japan and the world countries by children.
1,300m from the hypocenter
被爆樹巡礼 A-Bombed Trees
樹種:アオギリ(アオイ科)落葉高木
学名:Firmiana simplex
爆心地からの距離:1,300メートル
◎樹齢:不明
◎樹高:8メートル
◎幹周り:1.01メートル
◎所在地:広島県中区中島町1 平和記念公園内
◎会いに行くには:広島平和記念資料館の前。(2011年8月撮影)
アオギリは「青桐」と書き、幹や枝が鮮やかな緑色をして、とても美しい木です。しかし、被爆したアオギリの樹皮は茶色く、ざらざらしていて、さらに幹が焼けてえぐられ、空洞になっています。痛々しい姿をさらしながらも、"再生の象徴"とされ、親しまれています。隣には、緑色の生き生きとしたアオギリ二世が育っていますので、幹や枝の色や質感を見比べてみて下さい。このアオギリは平和記念公園内に立ち、修学旅行の生徒たちや広島平和記念資料館を訪れる人たちが立ち寄っていきます。もともとは爆心直下から約1,500メートル、東白島町にある広島逓信局(現日本郵政グループ広島ビル)にありましたが、現在の場所に移植されました。爆心地側の幹に空洞ができ、移植後に育つかどうかが心配されましたが、無事に根づきました。台風による枯死寸前の状態も乗り越え、青々とした葉を繁らせています。このアオギリの苗木は、"被爆樹二世"として、日本全国の学校や施設、世界各地で育てられています。
DATA of A-Bombed Trees
tree species:parasol tree
botanical name:Firmiana simplex
1,300m from the hypocenter
◎age:?years old
◎height:8m
◎surroundings:1.01m
◎address:Nakajima-cho,Naka-ku,Hiroshima city
◎in front of the Hiroshima Peace Memorial Museum. (photographing date:Aug,2011)
The parasol tree is standing in the Hiroshima peace park.
On August 6,1945,Hiroshima was burned by the blazing heat of the atomic bomb.It had been rumored that"nothing will grow in Hiroshima for 75 years", so this sight rekindled courage and hope in many who were close to despair. The young plants of this tree is growing up in many schools and the facilities in Japan and the world countries.
№24 住吉神社のクロマツ in 広島
船の守護神すみよしさんの被爆松
人の命を救ったと伝わります
A-bomebed Pine trees in HIROSHIMA
▼爆心地からの距離:1,300m/広島市中区住吉町5-10▼マツ科・常緑高木
▼樹齢200年以上
▼樹高:7m/幹周り:1.4m
樹高:7m/幹周り:1.2m
【木の特ちょう―しだれるように枝を伸ばす】
地元の人から「すみよしさん」と呼ばれて親しまれている住吉神社。本川の畔にあり、江戸時代から船の守護神として信仰されています。社殿の左手にクロマツが2本立ち、石塀から身を乗り出すように枝を伸ばしています。
戦前、この辺りは数多くのクロマツが立つ松林でしたが、原爆によってほとんどが枯死。住吉神社は本川のすぐそばにあり、境内から数本のクロマツが川のほうへ枝垂れるように立っていたと伝わります。被爆後に再生し、生きのびたクロマツはこの2本だけです。
【被爆を伝える】
宮司の森脇さんにお話を聞きました。
「毎年夏になると、川岸に腰をかけて長い間、川を眺めているおばあさんがいらっしゃったので、声をかけると、「私は住吉さんのおかげで、今日生きています」とおっしゃる。原爆が落とされたとき、その人は熱さに耐えきれず、川に飛び込みましたが、川が引き潮(※)となり、どんどん流されていったそうです。このままでは溺れてしまうと思ったとき、神社の境内からクロマツの枝が川の中まで伸びていたので、とっさに布切れをかけてつかみ、やっと岸に上がることができて助かったそうです。その時のご恩を忘れず、毎年夏にいらしてくださるのです。この木はひとを救った被爆松です」(2015年取材当時のお話)
【解説】※引き潮:広島市の川は瀬戸内海の満ち引きで水位、流れが変わる。原爆投下直後は川の流れはゆるやかだったが、時間が立つと引き潮となり、流れが激しくなった。水を求めて川の中に入った人の中には溺れたり、海のほうへと流されていく人も大勢いたと伝わる。
【この木に会いに行こう!】
広島駅前より広島バス吉島線「住吉町」下車、徒歩2分
≪DATA of A-Bombed Trees≫
Pine trees/Sumiyoshi jinja
1,300m from the hypocenter
botanical name:Pinus thunbergii
age:over 200 years old
height:7m/7m
surroundings:1.4m/1.2m
address:5-10 Sumiyoshicho Naka-ku,Hiroshima city
This trees survived the atomic bombing of Hiroshima, about 1300m from the hypocenter.